1 ページ1
.
森「なぁ、」
「ん？」
森「俺さ、好きな人できた」
「…まじ？」
いつもと変わらぬ帰り道。あと少しで家というところで、いつも通りの緩い会話の流れで言われた一言にいつも通りのテンションで返すことがやっとだった。
「そんな報告珍しくない？」
森「そーだっけ？」
「いつも事後報告じゃん。彼女出来たーって」
森「まぁ、いつもは相手の子からだったし」
「ふーん…で、誰なの？」
正直、なんとなく聞きたくないけどここまできて聞かないというのも無理で、絞り出すように、でもそれがばれないように聞く。
森「えー…秘密」
「ここまできて言わないとかないだろ」
森「聞きたい？」
「…なら聞かなくていい」
森「あー！うそうそ！俺から話ふって言わないわけないでしょ」
「じゃー誰なの？」
森「花ちゃん」
「え、花？」
私の高校に入ってからの一番の友達。まさか、自分にとってすごく身近な名前が出てくるとは思わず驚いてしまった。なんとなく、この話になってから見れなかった慎太郎の顔を見る。
森「あの子すげーかわいくない？優しいし、守りたくなる感じというか。気付いたら、うん。好きになっちゃってたんだよね」
聞いたわけでもないのに好きになった理由を話すその目の奥は文字通りにキラキラしていて、スッと私に"慎太郎が恋をしている"ということを受け入れさせた。
「…がんばんなよ。花、絶対競争率高いから」
森「だよなー、頑張るわ。だからさ、A、話聞いてくれる？相談とかさ」
…いつも遠慮とかしないくせにこういうときだけそんな子犬のような顔で聞くなよ。なんか泣きそうになるじゃん。
「ここまできて断んないから。聞いてあげる」
森「マジ！？よかったー、持つべきは何でも話せる幼馴染だ！」
「うざいうざい。暑いし離れて」
パッと笑顔になって肩を組んでくる。昔からずっとやってきてる距離感だが今はなんだか煩わしく感じる。
「にしても美女と野獣」
森「誰が野獣だって？」
「だって慎太郎ゴリラじゃん」
森「お前、このやろっ！」
少しずつつもる冷たさのある感情を誤魔化すようにいつもの軽口をたたく。2人で笑っても積もったそれが消えることはなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1135人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あまは(プロフ) - ありありさん» コメントありがとうございます！ドキドキしていただけてうれしいです！！話も更新ペースもゆっくりかとは思いますが、頑張ります! (2021年11月4日 2時) (
レス) id: aa4a13b0c9 (このIDを非表示/違反報告)
ありあり(プロフ) - もうドキドキが止まらなく、すぐにお気に入り登録いたしました！作者様の文才すごい！更新楽しみにしてます！応援しております！ (2021年11月3日 18時) (レス) id: 991e71cbdc (このIDを非表示/違反報告)
あまは(プロフ) - かなさん» そう言っていただけてすごくうれしいです！ありがとうございます！ゆっくりになるかとは思いますが、頑張ります！！ (2021年10月23日 1時) (レス) id: aa4a13b0c9 (このIDを非表示/違反報告)
かな - 素敵な作品を見つけてしまった……！更新楽しみにしてます！頑張ってください^ ^ (2021年10月21日 23時) (レス) id: a4d97af994 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：天羽
| 作成日時：2021年10月8日 3時
