人見知りのあの子は球団職員2 (ページ5)

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【病名は②】ページ5

医務室で横たわるAを見つめながら二人は無言を貫く。時計の秒針と医師が動くたびに微かに聞こえる衣服の擦れる音。先ほどまでの空間とは似てもつかない変わりよう。
冷えピタを貼りどこか苦しそうに顔を歪めるAに、佐々木はそっと手を伸ばした。

「ん…だめ…だよ、ろーたん。熱うつっちゃう…」

佐々木「……」

宮城(また＂ろーたん＂って。僕も大弥君って呼ばれたい)

「ろーたん…？」

佐々木はゴクリと唾を飲み込んでAを見つめる。こんなにも弱っている姿を、ましてやそれが自分の好いてる女性とあれば、惹かれないのも無理はない。

佐々木「Aさ＿＿」

宮城「ストップ！これ以上はダメ！Aさんの症状が悪化したら困るし、戻ろう？」

何かを察知した宮城は慌てて佐々木の袖を掴んだ。Aの頬を撫でていた指がピクリと反応し、名残惜しそうに離れていく。

「……うん。ありがとね、ろーたん、宮城君」

そう弱々しく微笑んだAに、宮城も何か感じるものがあったのか顔を赤くしながら医務室を出て行った。

(…………二人とも顔赤かったけど、大丈夫かな)

佐々木「……止めないでよ」

宮城「いや止めるでしょ。何しようとしてたの？」

佐々木「別に。俺が何しようが勝手でしょ？」

宮城「いや大問題！！颯一郎さんに告げ口するよ？」

佐々木「でもお前だって弱ったAさん見て興奮してたでしょ」

宮城「興奮って……」

佐々木「どうなの？」

宮城「いや、まぁ、そう、だけど……」

言葉を濁らせる宮城に佐々木は肘で小突く。Aの弱った姿を思い出して、宮城は再び頬に熱が集まるのを感じた。

佐々木「熱で弱ったAさんを見て興奮する俺らのほうが病気だよね……」

宮城「それは言えてる……」