人見知りのあの子は球団職員

【クリスマス】 ページ45

「可愛い…！」


選手たちがトナカイやサンタの帽子を被って撮影を終えた数分後。様子を見に来たAは撮影された写真を見ていた。


「颯ちゃんと宇田ちゃん可愛い……！みんな可愛い…！」


サンタ帽やトナカイ、ツリーといったクリスマス要素多めのアイテムを身につけている選手たちに思わず頬が綻ぶ。嬉々と言った様子で写真を見返していれば、Aの頭に何か被せられた。




「佑磨さん…？！」


宗「うん、やっぱ似合うわ」



Aの頭に付けられたのは先ほどまで宗が付けていたクリスマスツリーのカチューシャだった。外そうとはしないが困惑した表情で宗を見つめるAに、スタッフ達はすかさずその瞬間の写真を撮る。



宗「どうせならAも写れば良かったのに。ついでにサンタコスしてさぁ」


「私はお断りします……」


宗「えぇなんで。あ、スタッフさん。時間あったらAの撮影してください」


「いや私は、」


中川「A、写るならツリーじゃなくてサンタ帽にしてや」


宗「圭太いつの間に」


「待ってください、私写るなんて一言も言ってませんよ…？」



今にも消え入りそうな声に二人は顔を見合わせる。中川は意味ありげに笑いAの手にサンタ帽を押し付けた。それを渋々受け取ったAは付けているツリーのカチューシャを外し側に置く。



宗「えー、お揃いだったのに」



残念がる宗と嬉しそうな中川の背後の扉が開いたと思えば、山岡と頓宮が入ってきた。Aを見つけるなりニヤニヤとした顔で近付く。



山岡「可愛い事してるやん、A」


頓宮「めっちゃ似合ってる」


中川「ほらA。試しに撮影してや」







カメラのシャッターが切られる音と選手達の和気藹々とした声が部屋に響く。あの後撮影を終えた選手たちがゾロゾロと部屋を訪れ、いつの間にかAの写真撮影を見守る人が増えていた。



小木田「次トナカイね」
若月「俺らとお揃いだしな」
宇田川「Aなら似合うから」
東「ばり可愛い」

紅林「やっぱツリーで良いんじゃないですか？」
宮城「いやAさんはサンタの帽子が一番可愛いよ」
颯一郎「流石、よく分かってる」

石川「なんでこんな可愛いのこの子」
田嶋「撮影に慣れてないAちゃんも良いですね」



「もう…！私はモデルさんでも何でもないですから…！これ、絶対YouTubeに出さないでくださいね…！」




Aの願いも虚しく、後日YouTubeにあげられへこたれるのであった。

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