【魅惑の唇】 ページ22
「あれ、ない……。どこやったっけ…？」
そう独り言を呟くAはポケットに手を弄りあるものを探していた。目当ての物は出てくる事なく、反対側も同じ結果。期待を込めて再度ポケットに手を入れたが、当然出てくる事なかった。
「私リップクリームどこに置いちゃったんだろう……」
首を傾げながらも書類を抱えて廊下を歩く。朝に唇に塗ってそこからどこにやったのか全く思い出せない状態だ。
乾燥のせいで唇がカサつき、無意識に舌で舐めてしまう。かえってそれが乾燥を引き起こしてしまうと分かっていても、やってしまうのが人の性である。
「ヒリヒリする……」
早いところリップクリームを見つけなければ。そう考えながら曲がり角を曲がれば、とある人物とぶつかりそうになった。
福也「うわ、A？」
「あ……福也さん」
福也「下向いてたら危ないよ、何か考え事？」
優しく微笑みながら尋ねる福也に、小さく首を振って否定した。こんなくだらない事に選手がわざわざ時間を費やす必要はない。そんな意味を込めて。
福也「……俺には言えない事？」
「！いえ、そういうわけじゃ……」
福也「じゃあどうしたの？」
「…………リップクリーム、どこかに忘れたらしくて。唇が乾燥して痛いな、って考えてただけです」
福也「唇？」
福也の丸い瞳がAの顔を覗き込む。Aの唇に手が伸びて、指の腹で確かめるように触れられた。
「ッ…福也さ、」
福也「本当だ、乾燥してる。良かったらコレ使う？」
そう言ってAの前に差し出されたリップクリーム。目を丸くしながらおずおずとそれを見つめる。同じメーカーのものだ。
「……でもこれ、福也さんが」
福也「うん、使ってる。塗ってあげるよ」
「そんな、大丈夫ですから＿＿」
福也「俺がしたいから気にしなくていいって。ほら、目瞑って」
言われた通りに目を瞑る。一瞬唇にリップクリームとは似つかない感触が襲ったが、Aは気付くことなくされるがままだった。
福也「……ん。終わったよ」
「…ありがとうございます。助かりました」
福也「はいね」
見せつけるように自身もリップクリームを塗り始める。それを見ていたAは徐々に顔を赤くしながらも横を通り過ぎた。
(福也さんの意地悪……！絶対わかっててやってる…！)
福也(Aの唇柔らかいな。てか気付かないのヤバすぎでしょ)
【その職員に手を出すなかれ】→←【気になるあの子はどんな人？��】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1128人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「プロ野球」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Rey - 坂本勇人選手を出してほしいです!! (12月30日 22時) (
レス) id: 3fec1b3175 (このIDを非表示/違反報告)
四季(プロフ) - はじめまして、四季と言います。最高です。これから応援してます!! (12月6日 0時) (レス) @page24 id: 0b6716a94a (このIDを非表示/違反報告)
大阪谷 - めちゃおもろいです！ (12月1日 20時) (レス) @page16 id: 382b1b8271 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - お話好きなので消すのだけはどうか勘弁してください、、、、🥹 (12月1日 2時) (レス) @page15 id: d065f594fe (このIDを非表示/違反報告)
shirey(プロフ) - 小木田世代の話好きです🥹🫶🏼🩷 (12月1日 0時) (レス) @page15 id: dfc3189701 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
