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コビー「すみません」
『っ…はい!』
当然のように話しかけられ、私は咄嗟に返事をしてしまう。
コビー「…?貴方雑用じゃないですよね?」
見透かされた。
『いえ、雑用ですよ』
コビー「雑用の方の制服じゃないですが…もしや一等兵の方ですか?」
誤魔化してもすぐにバレてしまう嘘。コビー大佐が見聞色を使えることを知っていた私は、何も考えない事にした。ただ、自分が雑用と思い込むだけ。
『特注なんです…その証拠に、私は他の方と違ってショートパンツですよ』
裾を少し引っ張って見せると、コビー大佐は考え込んだ。しばらくの沈黙の後驚きの事を言われる。
コビー「…僕の隊員に1名だけ女性がいたのですが…トレーニングに参加していないんです…何か心当たりはありませんか?どこかで見たとか…」
『…』
自分の存在なんか認知されていないと思っていた。周りの人より身長が低いから、誰かの影に隠れる形になっていたからだ。そしてコビー大佐に話しかけられたのも、今日で初めてだ。
『ありませんね…見つけ次第報告いたします』
敬礼をして下を向くと、コビー大佐が行くのを待った。
『?』
でも、大佐はその場を動かない。
コビー「……Aさんですよね?どうして貴方が雑用をしているんですか?」
バレていた。私は何も言えなくなって黙る。
『………』
コビー「もしや、参加しないつもりですか?」
『!?っいえ!そんな事は…ただ、私は雑用を頼まれて…ッ』
冷たい目を向けられる。
コビー「言い訳は聞きたくありません」
噂を聞いたことがある。大佐はいつもは凄く優しいが、サボりや隊内のトラブルに関しては厳しくなる。「絶対的正義」を重んじる人だと。
『…申し訳ありませんでした…以後、気を付けます』
大佐はきっと、私が雑用のふりをしてトレーニングを怠っていると推測したのだろう。それか、どこぞの海兵が嘘の報告をしたか。
コビー「僕は貴方が立派な海兵になると期待していましたが…残念です…後で部屋に来てください」
胸に突き刺さる言葉。大佐はその後、部屋に戻ってくださいと命じた。
ーーー部屋ーーー
『…海軍なんか…大っ嫌い』
ベッドに寝そべってそう呟く。一人になった途端、海軍に対する敵意が剥き出しになる。
胸糞悪くなって起き上がると、私は電々虫を引き出しから取り出した。
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アワアワ - めっちゃ面白いです!!更新、頑張ってください!! (5月8日 20時) (レス) @page10 id: 2db5ff9399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:TT | 作成日時:2023年1月3日 14時