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其ノ陸 優一郎ノ涙-04- ページ4

「A…」


聞き慣れた声が頭上から降ってくる。
かと思えば、今度は頭を撫でられた。

壊れないように、そっと、優しく手を動かす。
顔を見ているわけでもないのに、悲しい表情をしているのだとわかってしまう。


Aは顔を上げる。




「ぅおっ、……ごめん、起こした?」


優一郎は瞳を揺らめかせると視線をあわせることもなく謝る。
Aは優一郎のその様子に少しだけ顔をしかめる。




「いーや?最初から起きてましたー。」


からかうように、優一郎に言う。

優一郎は視線をAに向けると、瞳の中に渦を描き始め羞恥心で顔を赤らめていく。





「起きてたなら言えよっ!!」


「だって頭撫でられたし。」



事実を口にすれば優一郎は赤い顔をもっと赤くしていく。
Aはりんごを想像した。


黙り込んこんだ優一郎を見て満足したのかAは満面の笑みを可愛らしい顔に浮かべる。

優一郎が喋らないあいだ、Aは隣で寝ている与一を眺めていた。




__私服も可愛すぎるよ…


なんて思いながら、Aは与一の頬を撫でた。





「あ!?」




優一郎の熱が引いてきた頃、いきなり叫んだ。

うざったいような目を優一郎に向けると、優一郎はAに詰め寄った。


「あ!え!おまえ!!」



言いたいことが定まらないのか、言っては言い直すを繰り返す。
その行動は、さながらアホにしか見えない。






「みんなは、みんなは、無事なのか!!?」


焦った様子でAの肩を掴む優一郎。
自分に起きたことよりも先に、他の人の心配をする…、
優一郎の優しさが滲み出た行動が、Aの頬を緩ませる。





「大丈夫。無事だよ。優ちゃん以外はなんともない。」


「そ、そうか……」


「……ぅ、?」


優一郎が安堵のため息をついた時、ちょうど与一が起きた。
Aと優一郎を交互に見つめると、目を見開いていく。






「ゆ、優くんっ!!?目が覚めたの!!?」




「そりゃこっちのセリフだ!!」



優一郎に突っ込まれた与一だったが、それを無視してすぐに優一郎に抱きつく。

そして、笑顔になる。




「よいちー、私には抱きつかないのー?」


Aは悪戯っぽい笑みを浮かべ、愉快そうに手を広げる。




「え、え?」

与一は間抜けな声を、零す。
優一郎から離れた与一は現状がつかめないままAに抱きついた。




「ふむふむ、やっぱ与一は癒しだー…」


Aは目を細めて幸せそうに呟いた。

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にゃん(ΦωΦ)(プロフ) - 続編が見つからないです。。。 (2020年11月28日 13時) (レス) id: 83c24e29ff (このIDを非表示/違反報告)
しゅー - 続編のページが見つかりません… (2020年3月30日 10時) (レス) id: d2ac7696ab (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - 続編おめでとうございます。これからどうなるか楽しみです、更新頑張って下さい。応援してます (2016年7月3日 14時) (レス) id: cb3c3b9b5b (このIDを非表示/違反報告)
minori♪(プロフ) - 雨音さん» 応援していますψ(・ω´・,,ψ (2016年1月10日 0時) (レス) id: fc9269d5d6 (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - minori♪さん» ありがとうございます!合格してきますね! (2016年1月10日 0時) (レス) id: 4732783237 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨音 | 作成日時:2016年1月2日 20時

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