翻弄的常習犯。-弐-【終わりのセラフ】 (ページ25)

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其ノ玖憑依スル黒鬼-06- ページ25

「なんでしょう？」

シノアが聞き返す。
君月は続けた。

「おまえらさっきから仲間仲間言ってるが、
正直俺はその言葉を信用できてない」

みんながみんな、君月に注目する。

「……なんの話だ？」

「俺と与一は軍の上層部＿＿
柊の奴らに尋問を受けた。」

＿＿尋問…

＿＿暮人のやろう…

「聞かれたのは“あの戦場で何があったか”だ。」

「…で、なんて答えましたか？」

「おまえに命令された通り何も知らないで通した。
それが正解か？」

「ええ、正解ですね。」

君月はシノアに命令されていたらしかった。
相変わらず先読みができて判断がはやい。

「だが、いつまで秘密なのが正解だ？
このまま仲間にも秘密にし続けるのか？

グレン中佐が説明するんだと思ってたが、
こいつの様子じゃ戦場で暴走したことも…

……シノア、

おまえを殺そうとしたことも、

まだ知らないだろう？

あの時、ミカエラというこいつの家族とAがいなけりゃおまえ死んでたぞ。」

シノアに言い詰める君月。
かと思えば今度はAの方を見た。

「A、おまえもだ。
優と幼なじみとか言ってるがそれは孤児院にいる時からずっとなんだろ？

名字が百夜だしな。

孤児院にいるやつらが、人体実験されていたのなら、おまえはどうなんだ？

おまえも、人体実験されていたのか？」

君月から視線をうつし、みんな私を見る。

Aは君月の目を見つめ返す。
まっすぐ、逸らすことなく。

間を置いた後、君月はシノアの方に振り向き続ける。

「で、質問だ。
俺たちは本当に仲間なのか？

もしそうなら俺はこいつが目を覚ましたら事実を話す。

だが、もしも仲間って言葉が建前で優を利用しようって話なら……」

「どうします？」

「別に。妹を救うために金がいるからここに留まるよ。
だがそれは仲間だからじゃない。

俺はおまえの騎士(ナイト)にはならない。

吐き気をこらえて仲間ヅラするよ。」

君月が悩んで悩んで悩んだ末に辿りついた結果ということが口調や声からよくわかる。

君月の言っていることは、Aにも理解できる。

Aの優先順位はなにをいおうと、家族だからだ。

百夜優一郎。

彼だからだ。