もう一度隣で笑って

No.18 深澤side ページ19

深澤side


楽屋の中は大変なことになっていた。

翔太は痛がってはいるものの、案外冷静でよかったと思ったのも束の間で、目黒の叫び声が響いた。

振り返ると、そこには苦しそうなだてさんが蹲ってて。

さっきまで自分の怪我では冷静だった翔太が慌てる。


渡辺「おいっ！」

宮舘「ッハ、ハァッ、ッハ、しょ、た、！」

渡辺「なに？俺、いるよ？」

咄嗟にだてさんのところに移動した翔太の手はまだ血が出ていた。
だてさんはその手を見てさらに苦しそうになった。

宮舘「ッハァッ…血…ッ」

岩本「翔太、とりあえず血止めることに集中して！だてさんに血が見えないように！
だてさん、落ち着いて？翔太ちょっと切っただけだから、ね？」

佐久間「マネージャーさん連れてきたよ、って、え、何、涼太？！」

阿部「佐久間、とりあえず、こっち手伝って！」

阿部ちゃんと佐久間で、とにかく急いで翔太の処置をしてもらう。

「だてさん、深呼吸して、ほら。大丈夫、大丈夫だから」

目黒「ゆっくり。ゆっくり。」

なかなか治らない過呼吸。ましてや、だてさんだ。みんなが動揺していた。

渡辺「涼太っ…ほら見てもう大丈夫。ね、ゆっくり息して？」

やっと血が止まった翔太がだてさんをゆっくり抱きしめた。


渡辺「っと…寝たかも」

しばらくして、そう翔太が言うまで楽屋の空気は張り詰めていた。

照が翔太に代わって、だてさんを支える。

佐久間「翔太の血を見てパニックになったってこと？」

「んー、翔太って呼んでたしなぁ…でもそんなにひどい怪我じゃないことは、判断できる人だと思うんだよな」

目黒「翔太君だったから？」

阿部「それでも…そういうときこそ冷静な人だよ？」

俺たちはだてさんの心の強さを過信しすぎていたのかもしれない。
いや、ただ甘えていただけなのかもしれない。

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