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銀魂 ページ1

町医者設定


私はかぶき町に根を張る医者だった。
医者と言っても、極道や天人、訳あって正式な医院での治療を受けられない者を専門とした医者。

要するに闇医者だ。

「もっと丁寧に治療しろよ、このヤブ医者が」

今治療代に腰掛けているのは坂田銀時。

訳あって知り合い、こうして時々どこで受けたのか分からない傷を見せに来る。

「ヤブ医者じゃない。闇医者だっつってんだろ」

「あーもうそう言うのどうでも良いから。○○じゃない○○だ系はもう飽和状態なんだよ。大体ヤブ医者も闇医者も対して変わんねぇよ」

治療を受け、ざっくりと腹部を斜めに走る刀傷の上を擦りながら、坂田銀時はボヤいた。

「タチが悪いには変わんねぇよ」

「万事屋なんてうさん臭い職業の奴に言われたきゃねぇがな」

それに、と。

「ヤブ医者はろくな技術を持たずに医療行為を働く者だが、闇医者は違う。患者が患者なだけに、高い医療技術が必要なんだよ」

「どーでもいいけどよォ、早く治療してくんね?痛くて堪んねえし、流石にもうそろそろ家に帰んねぇと神楽やババアになんて言われっか......」

此奴は人がいいのか厄介事に巻き込まれやすくて、年中傷を負っている。

中にはずっと昔に受けたような天人の爪痕や傷もある。

一体どんな青年期を経たらこんな大人になるのか。

「相変わらず治療早いな、ちゃんと治んのか?」

「闇医者舐めんな。というか、今回は何したんだよ。結構深い傷じゃねぇか」

「別に、お友達と遊んでただけだ」

「類は友を呼ぶからな」

「だから俺の周りにはおめえみたいなのも居るのか」

「一緒にするなよ」

「お互い様じゃぁねェか」

立ち上がって帰ろうとする坂田銀時。

常人ならいざ知らず、こいつならこのくらいの傷でも動き回れるだろう。

幾年かの付き合いで、そのくらい理解できるようになった。


「もう一度聞け。私の治療は天人製の薬や禁じられた治療法も使っている。だから治りも早いし、すぐに回復する。だがな、その分身体に大きな影響と負担を与える」

「......分かってるさ。あまり頻繁には来るなってんだろ」

「ああ。それに、お前は闇医者にかかる程廃れちゃいけねぇ。お前を思う人間がいるんだから」

坂田銀時は、木刀を腰にさしながらにやける。

「......俺が廃れてねぇって?馬鹿言うな。とっくのとうに廃棄済みだっての。だが、そんなふうに粉々になりながらでも護らなきゃいけねぇもんがあっからって、体が自然に動くんだよ」


「じゃあな」と、振り返らずに片手を上げて。

病院の扉が閉じた。

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作者名:五月晴れ | 作成日時:2019年10月12日 16時

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