共にー友にー ページ27
「<コミュニティ>の四ノ宮美晴さん」
美晴は液晶画面をタップし、スピーカーモードに切り替える。
「否、探偵社事務員、朝倉春(あさくらはる)と云ったらいいかい?」
朝倉春。
美晴が探偵社に潜入する際に、三分で考えた名前だ。
美晴は、慎重に言葉を選びながら話す。
「朝倉?四ノ宮?分かりません、誰ですか?」
「あっそ。まあそれ自体は大した問題じゃ無いから、別にいいよ」
電話の向こうの相手は、飄々としていた。
ボスが人差し指をと虚空に数回打ち付ける。『相手は誰だ』という意味だ。
美晴も、小指を数回曲げて『分からない、だが若い女の声だ』と返す。
ウィンディの声が電子音に混じって届く。
「何で?電波は向こうに行ってない。普通の機械なら、探知は無理な筈」
そう云うと、キーボードをカタカタと打ち鳴らす。
「おいおい、どうなってるんだ?」
「話しかけない」
口を挟んだリータルが、ピシャリと黙らされる。恐らく、「話しかけないで」と云いたかったのだろう。
手と同時に頭と口を動かすのは、大変なのだ。
暫くキーボードを叩くが、諦めたのか、「ぐぁあああああ!!遅い!!」と怒鳴りながら本体に拳をガンと叩きつけた。
<コミュニティ>傑作、超強化パソコンは、傷ひとつ付かない。
「此方のハッカーは優秀でしょ?」
電話の相手は、クククと喉を鳴らした。
ボスは、顔をしかめ乍、美晴に指示をだす。
「というか、誰ですか。貴方は」
「通りすがりの女将」
「騙される訳無いでしょう」
相手はケタケタ笑う。
その様子にイライラが募ったのか、美晴が云った。
「あのですね___」
「切れ!!美晴!!」
再び、ウィンディの叫び声。
美晴は迷いなく切った。
「何だ?ウィンディ。今日はよく叫ぶな」
リータルが茶化すが、最早無視される。
ボスとウィンディは、一瞬のアイコンタクトで意思疎通させた。
ハルとアキを手招いて、ボスを真ん中に、しっかりてを握る。
「リータル、今すぐ逃げるぞ。異能を使え」
「あいよっ、と」
赤い髪を揺らし、ボスの肩にトンと触れた。
「何か臭い、」
「何か臭い、」
「洗剤の臭いと云ってくれないかい?」
そして、彼らは夜に溶けた。
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2丁目のひきこもり(プロフ) - 蘭香さん» ありがとうございます!!(^ ^)頑張ります!!頑張りま、あ……、(・з・;)〜♪頑張ってみせます(汗) (2018年5月22日 21時) (レス) id: e7f710c5d0 (このIDを非表示/違反報告)
蘭香 - とっても面白いです!これは★いっぱいやな。更新待ってますー頑張ってくださいね! (2018年5月21日 19時) (レス) id: 4a14a6da47 (このIDを非表示/違反報告)
2丁目のひきこもり(プロフ) - 夏目さん» ありがとうございます!!そういって頂けて嬉しいです。何とか時間を見つけて更新していこうと思います!! (2018年5月19日 18時) (レス) id: e7f710c5d0 (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - 面白かったです!これからも更新待ってます!頑張って! (2018年5月19日 5時) (レス) id: 6f15b8d456 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:2丁目のひきこもり | 作成日時:2018年4月7日 17時