公安少女は、探偵チームに入る？シンデレラ特急編

Story33　「事件に出会えるか」　彩ｓｉｄｅ ページ14

翌日、神崎さんと一緒に、寄宿舎に行った

そこには小塚君がいて、ちょうどアナウンスで若武たちを呼び出しているところだった

若武たちを待っている間、私たち３人はロビーのいすに座っていた


しばらくして若武たちが来ると、小塚君はちょっと手をあげた


小塚「やぁ、元気？」


その姿は、秀明やＫＺの事務所で見る時より、ずっと大人っぽく見えた

旅行スタイルだったせいかもしれない

足元には、いつも持ちあるいている試薬の入った黒いバッグが置いてあった


若武「よっ！」


そう叫んで若武が出てきて、ギョッとしたように立ち止まった


若武「おまえ、背、伸びた？」


小塚君は、ゆっくりと立ち上がった

すると・・・今まで若武と同じくらいだったのに、もうはっきりと若武を追い越していたんだ

大人っぽく見えたのは、そのせいだったんだね


上杉「小塚の勝ち」


そう言いながら上杉君がやってきて、その後ろから黒木君も顔を見せた


黒木「若武先生、探偵チームの中で、一番のチビになった感想は？」


上杉君が若武の頭をなでる

若武は、悔しそうにその手を払いのけた


若武「ちっきしょう。リベンジしてやる。すぐ追い越してやるから、見てろよ」


私は、クスクス笑った


黒木「じゃ、事件を探しにいこう」


黒木君が言い、上杉君が親指を立てて出入り口をさした


上杉「町に出てみようぜ」


若武たちは、それぞれ外出届を出してから、寄宿舎を出た


若武「昼飯、どこで食う？」


若武が、上杉君の頭をこづいた


上杉「事件を探せ、事件を。デカいのを」


その言葉で、大事件を探してアーケード街を歩いたんだ

なんと、５回も行ったり来たりした

ところが大事件どころか、ちっさいのも、どこにも、まるっきりなかった

いたって、平和

神崎さんは、電話が掛かってきたから少し離れた場所で話始めたし・・・


小塚「ムリだよ、若武」


小塚君がそう言った時、黒木君がふっと笑った


黒木「いや、そうでもない」


え？


黒木「あれを見ろよ」


こっそりと親指を立て、その先でさしたのは、１軒のオートクチュールだった

看板には、高級服地、仕立てと書いてある

見るからに高そうな店構えだった

そのわきに、男の人が１人、立っている

顔つきの険しい、やせた中年で、帽子をかぶっていた


黒木「あの男、さっき若い女性の跡をつけてきたんだ。あの店に入っていった

男は、あそこで出てくるのを待ち構えている」


ん、怪しい

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