樹(続き) ページ3
『田中樹』
「なんだー、居たなら声掛けてくれれば良かったのに…」
目の前でそう言ってくれる先輩は、近くで見るとやっぱりカッコ良くて、目を合わせられない。
でも、後ろで先輩達に睨まれているのが分かった。
恐らく先輩達も、樹先輩のことが好きなんだろう。
チラッと見てみると、綺麗で可愛い人達ばかりで、やっぱり私は樹先輩には不釣り合いなんじゃないかと不安になる。
早くこの場から立ち去りたくて、帰ろうとする。
「私、お邪魔みたいなんで、やっぱり大丈夫です。一人で帰りますね…」
すると
パシッ
「何でだよ…誰がいつAのこと邪魔って言った?」
「え?あの、、、」
樹先輩は私の腕を掴んで、離さない。
「オレ、今めっちゃ嬉しいんだからな?…お前が来てくれて」
先輩は回りの目も気にせず、大きな声でそう言った。
そして後ろを振り返ると、すっかり静かになった女子達に向かってこう言った。
「これ、オレの彼女。悪いけど今日からはコイツと一緒に帰るから。」
そう言ってから先輩は振り向き、沢山の人前で私にキスをした。
私は先輩との初めてのキスに、放心状態のまま手をひかれて、教室を後にした。
「あっ、あの!樹先輩!」
「ん?どした?」
振り向かずにずかずか歩いていく先輩に、私は何をいったらいいか分からず、一言呟いた。
「……ありがとうございます」
「…ん」
私は初めて本当に先輩の彼女になれた気がして嬉しかった。
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ヒデ - オリジナルフラグ、ちゃんと外して下さい。違反です。ルールをちゃんと理解の上作品を作って下さい。 (2019年2月12日 19時) (レス) id: aa77c40445 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:米粉パン | 作成日時:2019年2月12日 19時