No side.【おねがい】 ページ46
そしてこの発言によって、彼は特殊な存在となってしまったのだ。
“ぱぱ“と呼ばれた存在は誰なのか、そして仲間ではあるはずなのに助けない選択を取るのはなぜなのか、あのとき1人だけシンリンカムイの拘束を逃れ死柄木が声をかけるまでヒーローの誰1人として存在を認識できなかったのか。
「ふざけるな、こんな……こんな……」
死柄木はこの現状に満足していない、あっさりとここで負けるわけにはいけないのだ。
手駒も失い、自身は拘束され、先生から渡された駒は言うことを聞かない。
「こんなあっけなく…….ふざけるな、失せろ消えろ…………お前が嫌いだ！！！！」
そう叫ぶと同時に彼がここにきたようにヘドロのような黒い液体から2体の脳無が現れる。
「脳無！？何もないとこから、あの黒い液体は何だ」
「エッジショット、黒霧は」
「気絶している、こいつの仕業じゃない」
次々と出てくる脳無。
敵を逃すまじとシンリンカムイにオールマイトが指示したその時、爆豪と敵たちは消えてしまった。
どうやら対象物のみの転送らしい。エンデヴァーに応援を頼み、彼らも脳無と交戦する。
これは、もう一ヶ所の作戦が失敗したことも示唆していた。
○
「んっじゃこりゃあ！！」
「また失敗したね、弔。でも、決してめげてはいけないよ、またやり直せばいい。……ああ、それとキミ、見守るって意味には弔の生命を守るって意味も含んでるから
「わかった、ぱぱ」
オール・フォー・ワンは死柄木に手を差し出し、すべては君のためにある、と立ち上がらせる。
彼はオール・フォー・ワンの『ねがい』に肯定し、側に立った。
そんな彼はどこか遠くの空を見つめて、彼のスーツの端を引っ張る。
「ぱぱ、きて、る」
「うん、やはり来てるか」
その言葉と共にオールマイトが現れた。
「全て返してもらうぞ、オール・フォー・ワン」
「また僕を殺すか、オールマイト」
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