【ヒロアカ】轟弟、危険につき。【男主】 (ページ25)

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Your side.「服が好き」ページ25

講評を終えて、私たちは着替えに向かった。

「おい緑谷、やべェことが発覚した、こっち来い」

何やら峰田くんが楽しそうにしている。あ、あれは関わっちゃいけないやつだ。
さっと目を逸らして試験管の中身を確認するふりをした。

「見ろよこの穴、ショーシャンク！！恐らく諸先輩方が頑張ったんだろう！！隣はそうさ！わかるだろう！？女子更衣室！！」

ああ、そんなとこだろうと思った。ダメだよ峰田くん、ヒーローになる前に社会的に死ぬよ。
何人かは興味を示しているようだけれど、流石にそれはちょっと……

「峰田くんやめたまえ、ノゾキは立派なハンザイ行為だ」

「飯田くんの言う通り、社会的に死ぬ前にやめておいた方が得だよ」

「オイラのリトルミネタはもう立派なバンザイ行為なんだよォォ」

流石に引いた。止めに入るために峰田くんの方に近づくより先に穴から耳郎ちゃんのイヤホンジャックが峰田くんの目を刺していた。

「バチが当たったねえ。今鉄でとりあえず埋めとくから、あとで先生に言っといてくれるかい？」

「当たり前。うたい、ほかに覗いてたヤツいる？」

「私を含めて誰もいないよ。峰田くんはこってり絞っておくから」

「ありがと」

「うたいはなんで何も言われないんだ……」

「普段がちゃんとしてるからね。はい、埋めた」

掴んでいた首根っこを離して着替えに戻る。もう既に何人かは出て行ったから私も早くしないと。
すると隣で瀬呂くんが話しかけてきた。

「うたいって細い？ってか華奢だよな」

「個性の件で、万が一暴走しても先に身体が耐えられなくなるように体重と筋肉落としてるんだ」

「髪も長いし、時々女子と間違えそうになる」

「私、ついてるものちゃんとついてる立派な男の子だよ。まあ華奢にしてるおかげで趣味が捗るのはありがたいかな」

「趣味？」

「服が好きでね。女装とはちょっとニュアンスが違うけど普通に女物の服着るし、スカートも履けばハイヒールだって鳴らすよ」

「ガチじゃん……毎日メイクしてるのもじゃあ趣味ってわけか」

「普段ナチュラルメイクなのによく気がついたね。コスチュームの時は派手にアイシャドウ引いてるからわかるけど、普段までわかるとは……瀬呂くんモテるよ」

「これがモテないんだなー」

眉尻を下げてけらけらと笑う瀬呂くんと並んで更衣室を出た。その時に視界の横で峰田くんが鉄で埋めた穴をカリカリと爪で削っていたので、軽く氷で殴った。