【ヒロアカ】轟弟、危険につき。【男主】 (ページ21)

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Your side.「大人のズル」ページ21

「先生、それでどうです？」

「それがねえ、異常数値は出てないんだよ」

「……は？」

思わず言葉が漏れた。あの後兄さんたちは保須市の病院に入院して、私は大した怪我もしてなかったから、かかりつけ医のところで検査してもらっている。
個性の数値に異常がない、それなのに暴発と最近の違和感？
先生は集中力の欠如と新生活のストレスのせいだろうと判断した。

「念のため、これから年4回の検査から月1にしましょうか。それとうたいくん、ちょっと体重増えてるから落としておいてね」

「……分かりました。スケジュールが合わない日はまた前もって連絡します。それじゃあ、ありがとうございました」

「はい、お大事に。そうだ、綾さん。すこしいいですか？」

私は先に帰っているように言われ、出かけたついでだから兄さんたちのお見舞いにでも行こう。
近くの店で見舞いの品を買って、保須市まで電車で揺られた。

＊

「——だが君たちの英断と功績も誰にも知られることはない。どっちがいい！？ひとりの人間としては、前途ある若者たち脳無"偉大なる過ち"にケチをつけさせたくないんだワン！」

中にはヒーロー2名とあれは確か、警察さん。
話を聞くに3人は飛び出してヒーロー殺しの元に行ったようだ。
えぇ、まだ仮免取ってないよね……？
私はお咎めなしになるはずだけど、このままだと処分が下されるって訳か。
思わず病室の扉に手をかけて、開けてしまったのは許してほしい。

「む！？お前は紡の……」

「うたいです、融凍でもいいですよ。彼らに処分を下すんですか？というか、兄さんたちプロの言うことは聞かなくちゃ……」

「まあ、どの道監督不行き届きで俺らは責任取らないとだしな」

「申し訳ございません」

「よし、他人に迷惑がかかる。わかったら二度とするなよ」

「君が紡うたいくんだワン？君は仮免とスピニングからの証言で、今回の事件の功績者として名前を挙げられるが、どうするんだワン？」

「どうするも何も、君たちに委ねるよ」

「よろしく、お願いします」

「とのことです。正直私はあの場で活躍したとも思えない。彼らの名誉を私1人が受けるわけにもいけないですし、私のことはいなかったことにしてください」

「大人のズルで君たちが受けていたであろう賞賛の声はなくなってしまうが、せめて共に平和を守る人間として、ありがとう」

大人のズル、ね。それもまた悪くない。こうして私たちの職場体験は、あっなく終わってしまった。