【ヒロアカ】轟弟、危険につき。【男主】 (ページ20)

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Your side.「止めろ」ページ20

……でもきっと、兄さんと緑谷君にとってはその謝罪の意味が違ってくるのだろう。

「僕もごめんね。君があそこまで思いつめていたのに全然見えてなかったんだ、友達なのに」

「しっかりしてくれよ、委員長だろ」

まだ入りきれない輪の中で、彼らはこの戦いについて振り返っている。友達ってきっとこういうのを言うんだろうな、と少しセンチメンタルな気持ちになっていたその時だった。

「伏せろ！」

「え？」

翼の生えた脳無が緑谷君を連れ去って飛んでいく。あまり高く飛ばれると姉さんの糸も間に合わないし、私の手持ちの物質だけじゃ何もできない。
姉さんが地面に触れようとしたその時、ヒーロー殺しが隠し持っていたナイフで拘束を解いて、プロについていた脳無の血を舐めて動きを止めた。
まだ起きてられるか、ヒーロー殺し。

「偽物が蔓延るこの社会も徒に力を振りまく犯罪者も粛清対象だ。全ては、正しき、社会のために」

「助けた！？」

「バカ、人質取ったんだ」

「何故ひとかたまりで突っ立っている！？そっちに1人逃げたはずだが！！？

「エンデヴァーさん！！」

「あちらはもう！？」

「多少手荒になってしまったがな。して、あの男はまさかのヒーロー殺し——！！」

「まて、轟！」

瞬間、ヒーロー殺しからすごい気が放たれるのを感じた。皮膚がビリビリと震えた。
——ああ、ダメだよグラントリノさん。

私も止めなきゃ(・・・・・・・)

「うたいっ」

「偽物、正さねば、誰かが血に染まらねば、ヒーローを取り戻さねば、来い、来てみろ贋物ども。俺を殺していいのは本物の英雄だけだ」

「本物……？まあ、どうだっていいや。私はここにいる誰よりも優しさと慈悲はないぞ」

ゼロ距離まで詰めてその手でヒーロー殺しの顔面をふれようとした途端、静止が入る。

「うたい！それはここじゃダメ。それに……」

「気を、失ってる……」

小さく舌打ちをして、姉さんの元へと下がる。
あの時、あの場で怖気付いて近づくことができなかったのは、後から聞いたがヒーロー殺しと私の放った気によるものだったらしい。
たったのあのくらいで動けなくなるなんて、日本のヒーローは案外平和ボケしているのかもしれないなと、少し落胆した。