【ヒロアカ】轟弟、危険につき。【男主】 (ページ16)

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Your side.「例の」ページ16

「時間制限か」

どうやら緑谷君の考察曰く、ヒーロー殺しの個性の効果は、血液型とか量とかによる時間制限があるみたいだ。
しかもご丁寧にそのことを彼は教えてくれた。

「ハァ……血液型……正解だ」

優しいねえ……いや、ここまで正解が出てたら言うか。知られて困るような個性じゃないし。
ここまできたらあとは血さえ見せなければ相手はただ素早いだけの敵に成り下がる。
私はじっとヒーロー殺しから1秒たりとも目を離さない。
それに気づいた彼は、目を見開いて

「ああ、お前が例の——」

「……は？」

【例の】？なんだ……？私のことを知る敵は全て消し去ったはず。
名前は知れ渡ってしまっても仕方ないにせよ、私の顔を知っている？いったい彼は何を考えた？予期せぬ出来事に焦り、手の中の氷が暴発した。

「った……暴発…………？」

「さっさと2人を担いで撤退してえとこだが……」

「プロが来るまで近接を避けつつ粘るのが最善だと思う。轟くんは血を流しすぎてる……僕と紡くんが前方に出てやつの気を引きつけるから後方支援を！」

「っ、うん」

暴発なんて今まで一度もしたことがなかった。やっぱり最近の個性関連の違和感は姉さんの言う通り間違いでなかったようだ。病院行った時に言わなくちゃな、と頭の隅で考えながら緑谷君の横に立つ。

「相当危ねえ橋だが、そうだな」

「三人で守ろうか。いくよ」

「うん！」

「3対1か、甘くはないな」

兄さんは後ろにいる飯田君を気にかけているような気がする。なんとなく察するけど、兄さんの境遇と似たり寄ったりの状態だから、なんとかしたいって思ってるのかもなあ。
左の炎が私と緑谷君の間に放たれた。
熱で緑谷君の体力が奪われないために、水のあまりに余裕はないけれど、細かな氷の粒を緑谷くんに纏わせる。
筋肉の疲労もこれで軽減できるはず。お互いいつプロが来るかわからない緊張感の中、少しでも乱してしまえば形成が一気に逆転しまうそんな攻防を繰り広げる。