【ヒロアカ】轟弟、危険につき。【男主】 (ページ15)

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Your side.「双子パワー」ページ15

私たちが戦う後ろで飯田くんが声を震わしながら、言った。

「何故、三人とも……何故だ。兄さんの名を継いだんだ。僕がやらなきゃ……そいつは僕が！！」

「へえ、飯田くん継いだんだ」

兄さんが氷で私に応戦し、私は意趣返しで最高に熱い蒸気とポーチから液体窒素を出した。
地面に落としてガラスを割ると、気体となる前に液体を保つ。それらをうまく合わせてヒーロー殺しに浴びせた。

「熱い、それとも冷たい？どっちにしろそれ痛いだろう？私のとっておきだよ。液体窒素を液体のまま持たせるのって結構集中力がいるんだ」

「チッ……」

その直後、兄さんの大氷結がヒーロー殺しの前に出来る。その際に、飯田くんに何か言っていた。

しかし、兄さんは意外と大胆に戦うんだな。私とは大違いだ。兄さんなら次にこうする、と思ってヒーロ殺しと距離を取っておいて正解だった。でないと巻き込まれて大惨事になっただろうね。
これが双子パワーってやつ？

手の中の刀を消して、次の攻撃に備えた。少しだけ上がった息を整える。

「俺が見たことあるインゲニウムは、そんな顔じゃなかったけどな。おまえん家も裏じゃ色々あるんだな」

地べたに転がる飯田くんが少し表情を歪ませた。きっと、私が編入してくる前に何かあったんだろう。

……私怨は冷静さを欠くからね、程々にしたほうがいいよ。そう言ってあげようとした時、目の前の氷塊が崩れ落ちた。

「己より素早い相手に対し、自ら視界を遮る……愚策だ」

「それはどうかな」

チリ、と兄さんは炎を出そうとしたが、その左腕にナイフが突き刺さった。私でもそうするよヒーロー殺し。でも……

「甘い(・・)ぞヒーロー殺し」

そのまま身体を捻らせてヒーロー殺しの腹にとっておきの蹴りを入れる。
しかし、思っていたより入り方は浅かったようで、距離は離せどダメージが思っているよりは入らなかった。

「——お前たちも…良い……！」

ぞくり。

【ああ、久しぶりのこの感じ！】
一気に頭が冴え、周りの音が消え去って、この世界には私とヒーロー殺ししかいないような錯覚に陥る。まだ楽しませてくれと言わんばかりに一歩出したが遅かったようだ。
緑谷くんが襟を掴んで倒れているプロから距離を離した。一気に現実に引き戻された。

だめだ、集中しろ。ヒーロー殺しへの攻撃を止めずに、後ろを気にかける。できればもっと広いところに出たいんだけどなあ。