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「莉音さん?おはようが先じゃない?」






おはようより先に質問を投げかけた同期の莉音にそう言えば、はいはいごめんなさーいって、めんどくさそうにそう言った。






「ってか盗み聞き!?ひどい!最低!」
「別に聞きたくて聞いたわけじゃないし、あんたの声がデカすぎなの」






大学時代から変わらないそのやりとりを見ていた岩ちゃんは、クスクスと笑っていた。
荷物を置いてパソコンを立ち上げ、仕事の準備を済ませた莉音は、もう1度私をみた。






「で?一目惚れしちゃったの?」






早く答えろよ
って顔で同じ質問を繰り返した莉音。
呆れて彼女を見つめ、小さくため息をついた。






「あのね、私が一目惚れなんてするわけないでしょ?」
「へーえ、そう」






興味無さそうに返事をした莉音は自分のデスクに向き直る。
カタカタとキーボードを打つ音に混じって、だってさ岩田って、声だけが飛んできた。






「は?俺?」






困惑した表情と声色。
そりゃあそうだろう。






「あれ?興味なかった?」






もう1度ひょこっと顔を出した莉音の視線は、私を通り越して岩ちゃんに向けられていた。
岩ちゃんを見つめる莉音の顔は、いたずらが成功した子供のような笑顔。
そんな莉音の表情に気づいた岩ちゃんは、軽く莉音を睨む。






「別にどうでもいいです」





そう言った岩ちゃんの表情は、イタズラされた子供みたいないじけ顔。






どうでもいいって、そりゃそうだけど、
ちょっと失礼じゃない?
なんて、ひとり頭の中でぶつくさ考える。






朝のミーティングの時間が迫り、私の不満は声にならないまま、パソコンの電源をONにする。

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ケイト(プロフ) - ぐらさん! はじめまして。 テンポ良くてとても楽しいお話です頑張ってくださいね。楽しみにしてます。 (2019年12月21日 12時) (レス) id: 58e2f25ab2 (このIDを非表示/違反報告)
ぐら(プロフ) - とさこさん» ありがとうございます! (2017年12月22日 18時) (レス) id: 07d3f7974d (このIDを非表示/違反報告)
とさこ - これ本当に面白いです!続き楽しみにしてます (2017年12月8日 0時) (レス) id: a052acf338 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぐら | 作成日時:2017年11月20日 16時

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