テキーラ・サンライズ Hiroomi.T

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会社に戻ってから、時間を忘れて一心不乱にキーボードを打っていた。
気づいたらもう日が沈んでいて、部署内は残業をしている人が数人ちらほらといるだけだった。
その数人も、もう少ししたらいなくなるのだろう。





ひと休みしようと伸びをしてようやくお腹がすいていることに気づいた。
お昼に何を食べたのか覚えていない。





腹が減っては戦はできぬ。
なんて言葉を思い出してコンビニに行こうと立ち上がったら、ドサッとデスクの上にコンビニ袋が降ってきた。
驚いて振り向けば、お疲れ様って言いながら岩ちゃんが笑っていた。





「チーズカレーパン」
「え！？売ってたの！？」
「最後の１個でした〜」





チーズカレーパンはここから1番近いコンビニの人気商品で、この時間は帰宅ラッシュということもあり大抵売り切れている。
私の大好きなパンだ。おいしい。本当に。
岩ちゃんはドヤ顔をしながら隣のデスクに腰掛けた。





「てかなんでいるの？」
「なに、いちゃ悪い？」
「いや、帰ったのかと...」





岩ちゃんのデスクのパソコンは既に閉じられているし、仕事の途中というわけでもなさそうだ。
体ごと私の方に向いている。





岩ちゃんは頭を抱えてため息をついた。





「置いていけるわけないでしょ？今日の分終わるまで待つから」





心底呆れた顔をしている岩ちゃんは、缶コーヒーを開けた。

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