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「本当にすみません」
田中さんと太田さんが、私たちに深々と頭を下げた。
USBを預かったのは田中さんらしくて、彼は少し泣きそうな顔をしている。
「会社中探し回ったんですが、それらしきものは見つからなくて、」
少しホコリっぽくなったスーツと乱れた髪の毛が、必死に探し回ったことを物語っていた。
こんな広い会社であんなに小さなものを失くせば、そりゃあ簡単に見つかりはしないだろう。
「どんな理由があっても、重要書類を失くされては困ります。あの書類は、菊池が3週間かけてやっと作り上げたものなんです」
岩ちゃんが言っていることは正しいことなのだけれど、私はそれを聞くのが辛かった。
「本当に申し訳ございません」
さっきからずっとこの調子の田中さんと太田さんを見て、岩ちゃんは少し困ったような顔をする。
いや、困っているんだけれど。
失くしてしまった重要書類は、あと3日後に行われる全体企画発表で使うものだ。
2社の担当部署のお偉いさんが集まる発表会で、そのプレゼンが上手くいくがどうかで今後が左右される。
「私、作り直します」
小さな会議室に、私の声が響いた。
その声が思ったより無機質なもので、私自身が驚く。
「A、？あと3日しかないんだよ？」
「3日あれば十分よ」
納得のいかない表情をする岩ちゃんと、目を丸くする太田さんと田中さん。
「無理はよくないよ？」
「他にどうするの？書類を失くしたので延期にしてくださいってお願いするの？そんな理由、うちのカタブツ部長には通用しないわ」
「そうだけど、」
まだなにか言い返しそうな岩ちゃんを無視して、私は太田さんと田中さんに向き直る。
「大丈夫です。私が絶対になんとかします。お二人とも、あまり落ち込まないでください」
そう言って微笑んだら、二人ともさらに深く頭を下げてお礼と謝罪を繰り返すからすごく焦った。
岩ちゃんは渋い顔をしていたけれど。
今日と明日は徹夜かな。
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ケイト(プロフ) - ぐらさん！ はじめまして。 テンポ良くてとても楽しいお話です頑張ってくださいね。楽しみにしてます。 (2019年12月21日 12時) (
レス) id: 58e2f25ab2 (このIDを非表示/違反報告)
ぐら(プロフ) - とさこさん» ありがとうございます！ (2017年12月22日 18時) (レス) id: 07d3f7974d (このIDを非表示/違反報告)
とさこ - これ本当に面白いです！続き楽しみにしてます (2017年12月8日 0時) (レス) id: a052acf338 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぐら | 作成日時：2017年11月20日 16時
