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太田さんと田中さんが会社から出て行ったのを確認して肩の力を抜くと、おつかれって隣で声がした。
その声の主に目を向ければ、いつもみたいに笑っていた。
「腹減らない?」
「は?」
「俺もうぺこぺこ」
お腹をさすりながらそう言う姿は、仕事をしている時とはまるで別人。
これをギャップというのだろう。
時計を見て、お昼休憩の時間だと確認した岩ちゃんの足は会社の外へと向かう。
1人で歩き出した彼を見ながら手持ち無沙汰になる私。
どうするべきかおろおろしていたら、岩ちゃんがくるっと振り返る。
「一緒にランチでもどう?近くに新しいカフェができたらしいよ」
ただランチに誘うその姿さえも、絵になる。
まるでドラマでも見ているかのような気分だ。
そんな彼と部署内で1、2を争っているなんて、なんだか恐れ多い気もしてくる。
今更だけど。
「しょうがないなあ、付き合ってあげるよランチ〜」
「素直に行きたいって言えばいいのに」
可愛くない私の言葉に、呆れて、でも笑って返事をしてくれる。
岩ちゃんとランチなんてほかの女子社員たちに知られたら末恐ろしいけれど、
それでもいいかと思えてしまうのは、彼の目がいつも暖かいからなのだろう。
『今日のランチは岩ちゃんと行ってくる』
莉音にひと言メッセージを送って、先に歩き出した岩ちゃんの背中を追った。
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ケイト(プロフ) - ぐらさん! はじめまして。 テンポ良くてとても楽しいお話です頑張ってくださいね。楽しみにしてます。 (2019年12月21日 12時) (レス) id: 58e2f25ab2 (このIDを非表示/違反報告)
ぐら(プロフ) - とさこさん» ありがとうございます! (2017年12月22日 18時) (レス) id: 07d3f7974d (このIDを非表示/違反報告)
とさこ - これ本当に面白いです!続き楽しみにしてます (2017年12月8日 0時) (レス) id: a052acf338 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぐら | 作成日時:2017年11月20日 16時