【aph】正義の定義【アルフレッド・Ｆ・ジョーンズ】

HERO 50 ページ50

『貴方が居ない世界は幸せですか？』

「ふぁぁ…桜ちゃん、おはよう」
「あら、Aさん__おはようございます」

下を向き、もじもじとしている桜ちゃんは何時もとは雰囲気がかわっていて。
まるで___そう、恋をしたような。

「…どうかした、んですか？」
「へっ！？…あ、いや___そ、の」

赤が支配する頬を恥ずかしそうに両手で隠し、私の方をちらちらと見る。
何か後ろめたいことでもあるのだろうか。

「…教室には誰もいません。何かあったなら___正直に、言ってください」

そう言うと、長いまつげを伏せ、髪をくりくりといじり始めた。
甘みを帯びた頬が、とてつもなく可愛らしくて___

「まだ、まだ分からないんですけど___

私、恋しちゃったんです」

…予感的中。
いちごみるくの様に甘く、溶けてしまいそうなその感情はとても尊いものだ。

「誰に、ですか？」
「…三年生の、転校生さん居るじゃないですか__
昨日、転校してきた」

___目を見開く。
やめて、言わないで。

待って、その人は___

「アーサー・カークランドさん___

あ、内緒ですよ？」

えへへ、と微笑む。
私を、拒む。

違う、違うの。

その人は、違うの。

桜ちゃんの、好きな人じゃないの。




私の、好きな人なの。

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