【aph】正義の定義【アルフレッド・Ｆ・ジョーンズ】

HERO 5 ページ5

「…なんて送れば良いんだ」
思いきってトークに踏み出したものの、やはり話題がない。
相手は気づいていないみたいだし、放置していても良いのだが__
やはり、それは居たたまれない。

『今晩は、Aです』

考えるのが面倒くさい。
よって、ここまで簡潔になったのだ。

別にそれ以上の意味もそれ以下の意味もない。
第一人と馴れ合うのは苦手だ。
最初はチョコのようにまとわりつくように、何かあったら梅酢のようにさっぱりだ。

…お腹がすいた。
さっきからぐうぐうと悲鳴をあげているではないか。
今日は麻婆春雨だったか、まあ好きでも嫌いでもない。

「下行こうかな__」

あ、そういえば菊さんに謝らなくては。
Twitterで実況する約束をしていたのに___
【ピロリン】

タイミングが悪すぎる。
携帯の画面に映し出されている通知を見てみると、どうやらジョーンズさんからのメッセージだ。
どれ、どんな感じなんだろう。
期待を少し込めつつ、携帯のロックを解除する。

『やあ！登録してくれたんだね、嬉しいよ:-)
突然だけど、明日の放課後空いてるかい？』

とりあえず絵文字が可愛い。
そして話がぶっ飛びすぎていないか？
いきなりお誘いだなんて__海外の人はやけに積極的で怖い。

明日は美術部は確か___三年生だけだったはずだ。

『はい、空いてます』

そうメッセージを送ると、即座に既読が付いた。
なんだか餌を待っている犬のようだ。可愛い。

『やったね！なら明日うちのクラスで待ち合わせ…の必要は無いね。同じだもん！
お話したいことがあるんだ。君にしか、話せない。
それと敬語やめてくれないかい？
別に先輩後輩でも無いんだから！』

この人はLINEよりメール向きだ。文章が長すぎる。

『了解』

ただ、それだけ。
この二文字が、なんだか妙に心地よかった。

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