【aph】正義の定義【アルフレッド・Ｆ・ジョーンズ】

HERO 40 ページ40

強い日射しは、容赦なく教室を襲う。
そんな日射しだけでも対応するのに手一杯なのに、私には更なる魔物が待っていた。

「あのLINEどう言う事よ！裏切り者ー！」
「私はそんな気があってジョーンズさんと出掛けたわけじゃありません__あ、そう言えばチェシャ猫のどうでしたか」
「超絶可愛かった…って、話を逸らすんじゃ無いわよ！」

桜ちゃんが苦笑いで私達を見守る。
心地好い空間は、きっと私の体にフィットしているのだろう。

「…何だか外が騒がしいですね」
「そう言えば今日ジョーンズさんのお義兄さんが転校して来るそうですよ」

主にミリアさんに視線を向けそう言う。
麦茶がたっぷり入った水筒は、ずしりと重く重力を感じさせた。

「なによそれ！見に行くわよ！」

するとミリアさんはガタッと立ち上がり、私達の腕を掴み騒音のする廊下へと走った。
別に私は興味無いのに__

「お、おいっ…俺はアルに話があるだけで」
「アルフレッド君のお兄さんですかぁ！？
ちょーカッコいい！」

そう言えば今教室にジョーンズさんは居ない。
その事を伝える者は居なかった。

__聞いたことある、声。

ぴょんと所々跳ねている髪。

それらは私の愛しい人に似ていて、そして私には理解できないもので。

「あー、さー」

廊下に響く騒音の中、この声だけは届けたかった。
それでも不思議と声は出なくて、頭が痛くて。

「___A？」

それでも反応して欲しくなかったなぁ、他の人でいて欲しかったなぁ、と思った私は__


世界で一番、ずるいひとです。

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