【aph】正義の定義【アルフレッド・Ｆ・ジョーンズ】

HERO 20 ページ20

「何すんのよ！折角のチャンスを__」
「すみません、本能です」

体育館を出て、右に曲がる。
そこにある四十階段に座り、乱れた息を整える。

「お詫びと言っては何ですが___何か奢ります」
「わ、そんなの悪いですよ！」

桜ちゃんが両手をひらひらと揺らす。
その都度香るフローラルの香りは、私の思考を惑わせた。

「…別に、良いわよ」
「ならジョーンズさんの連絡先を教えます__
とは言っても、LINEですけどね」

そう言った瞬間、ミリアさんの顔が明るくなる。
メイクなんかより、とても大切な恋心は___

「い、いの？」
「ミリアさんの事だから恥ずかしがって聞いてないと思ったんです」

砂糖を蜂蜜で煮込むように、甘いのだろうか。

「うふふ、良かったですね__ミリアさん。」
「べ、別に嬉しくなんか…」

桜ちゃんがあらあら、と微笑む。
桜色の唇が、妙に艶やかで。

「嬉しいなら嬉しいと素直に言ってください。
人の心を読むのは苦手です。」
「…ねえ、ちょっと笑ってみて」

ミリアさんが不思議そうに言う。
私は二つ返事で良いですよ、と返し微笑んだ。

この後ミリアさんの『お化けが出た』と言う叫び声が青い空に響き渡ったことは、言うまでもない。

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