メイドさん。３３７【しげの2号】 ページ30
家に帰るとコートを脱いで投げ捨てた。
「羨ましいに決まってるのになぁ」
右腕を眺めながらそう言った。アーニャには誰にも言えない過去があった。言えない、というよりは言わない、の方があっているだろうか。言ったところで彼らはAのことで頭がいっぱいだから、無意味なのだ。
「いつみても変わらないなぁ……この腕」
右腕に巻かれている包帯を取って言った。傷やアザなどで腕はボロボロだった。
「何で……あの子は何もせずに沢山手に入るのかな。私なんて自分をどれだけ殺しても何にも手に入らなかったのに」
結局は誰も自分を見てくれてなどいなかった。幼い頃に感じた、世の中への絶望。信じていた人からの裏切り。アーニャには到底人間を信じることなどできなかった。
「ギルベルトくんも、イヴァンも……私を気にしない。ただの他人だから」
鏡に手をつき俯きながらそう言った。いつだって消えることができる。世に未練などあるものか。この腐りきった腕も、使い物にならない。
鏡から離れて窓側へと行く。夜景がとても綺麗だ。
「Aちゃんは羨ましいなぁ。みんなが守ってくれるんだもん。消えたら心配してくれる。私とは大違い。捨てられることなんて、ない」
そう言うと、また自分を殺した。腕を殺した。アーニャを心配する人は、いるのだろうか。きっといないのだろう。彼女の自宅は誰も知らない。彼女の存在は夜になると消えたも同然になる。昔から変わらないのだ。
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＊さくら大福＊(プロフ) - Ｒｅｉさん» コメントありがとうございます！訂正させていただきました！面白いですか…？さすがしげのさんですね(o^−^o)更新頑張ります！本当にありがとうございます！ (2015年8月30日 15時) (
レス) id: 9ef5974a12 (このIDを非表示/違反報告)
Ｒｅｉ(プロフ) - ＊さくら大福＊さん» いえいえｗｗ面白いので、もったいないと思っただけのことです。いつも楽しみにしております。更新頑張ってください！ (2015年8月30日 15時) (レス) id: 26c2c278f5 (このIDを非表示/違反報告)
＊さくら大福＊(プロフ) - Ｒｅｉさん» コメントありがとうございます！慣用句の使い方を間違ってましたね…ご指摘ありがとうございます！誤字までご丁寧に…！本当にありがとうございます！ (2015年8月30日 15時) (レス) id: 9ef5974a12 (このIDを非表示/違反報告)
Ｒｅｉ(プロフ) - 知りに敷く→尻に敷く。同様に３４０です。 (2015年8月30日 15時) (レス) id: 26c2c278f5 (このIDを非表示/違反報告)
Ｒｅｉ(プロフ) - 追記：３４０のことです。 (2015年8月30日 15時) (レス) id: 26c2c278f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら大福 x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2015年8月26日 22時
