メイドさん。335【しげの2号】 ページ28
「ふ……バカだよ。本当。そういう人間が一番嫌いなんだよね。エミリーちゃん、知らないだけだよ。私、聞いちゃったから」
そう言うと立ち上がった。そして分厚い資料をギルベルトに渡した。
「なんだよ、これ」
「私の会社の全部の情報。それで潰すなりなんなりしてよ。もう私には会社なんて必要ないから」
行こうとするアーニャの腕を掴んだ。怒りに満ちたその表情に、アーニャは少し笑った。感情的になる人間ほど面白いのはない。
「テメェふざけんなよ。社員を捨てるってのか」
「捨てるわけじゃないよ。キミに預けたんだ」
「いい加減にしろよ!お前が立ち上げた会社だろ!?お前が責任を取るモンだろ!」
「分かってないねぇ、ギルベルトくん」
腕を組んでギルベルトを睨んだ。携帯を取り出し指を走らせる。そして携帯の画面をギルベルトに見せてきた。
「なんだよ……これ」
掲示板のようなサイトにはアーニャに対しての不満や怒りが沢山書き込まれていた。アーニャは笑うと携帯の電源を落とした。
「私、嫌われてるんだぁ。こんな掲示板があるなんて、笑っちゃうよね。これが何を表してるか、意味分かる?」
「会社をやめろってことだよ。こんなことされてるなんて、思ってもなかったでしょ?」
真剣な目つきでギルベルトを見るアーニャ。口をマフラーに埋めて低い声で言った。
「口先だけだよね、キミたちって。何が正直者だよ。信じているだよ。私のこと、信頼なんてしていなかったでしょ。結局はキミも口先だけだよ。みんなそうなんだよ。まぁでもいいよ」
アーニャの目に光などなく、何も映し出さなかった。口角を上げて不敵に笑い、また低い声でギルベルトに言った。
「私たちただの他人だし」
きっとアーニャの見ている世界には色などないのであろう。黒と白の単純な世界が見えているのだろう。
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*さくら大福*(プロフ) - Reiさん» コメントありがとうございます!訂正させていただきました!面白いですか…?さすがしげのさんですね(o^−^o)更新頑張ります!本当にありがとうございます! (2015年8月30日 15時) (レス) id: 9ef5974a12 (このIDを非表示/違反報告)
Rei(プロフ) - *さくら大福*さん» いえいえww面白いので、もったいないと思っただけのことです。いつも楽しみにしております。更新頑張ってください! (2015年8月30日 15時) (レス) id: 26c2c278f5 (このIDを非表示/違反報告)
*さくら大福*(プロフ) - Reiさん» コメントありがとうございます!慣用句の使い方を間違ってましたね…ご指摘ありがとうございます!誤字までご丁寧に…!本当にありがとうございます! (2015年8月30日 15時) (レス) id: 9ef5974a12 (このIDを非表示/違反報告)
Rei(プロフ) - 知りに敷く→尻に敷く。同様に340です。 (2015年8月30日 15時) (レス) id: 26c2c278f5 (このIDを非表示/違反報告)
Rei(プロフ) - 追記:340のことです。 (2015年8月30日 15時) (レス) id: 26c2c278f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら大福 x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2015年8月26日 22時