音に思いを乗せて。( 合従軍編 ) 《キングダム》 (ページ8)

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8 : 意識の手綱ページ8

玉鳳は騰将軍に絡んでいる部隊を後ろから突き、引かせていった。

『負けてらんないや』

そんなことを考えているとふと思い出した。
あれ、

『あの五千はどこへ行った……』

ここに至るまでの何らかの違和感
そうだ、思い出した

『あの時見た五千の連隊。
あれは尋常じゃない。きっと精鋭隊だ』

彼はぴくりと槍を握っている手が動いた。

『もし、蒙武軍も騰軍もそれを見ていないとしたら
その隊はきっと函谷関へ行くことができてしまう……』

賁「だが、ここを無断で離れることも出来ぬ。
例えその隊を見つけたとしてもこの兵の数では一溜りもない」

『くそ……』

その時急に胸の当たりが傷んだ。先程の怪我のせいだろうか

『う、あﾞッ……』

急所は外したものの息が苦しい
それと同時に私は必死につなぎ止めていた意識という手網を手放した。

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王賁side

苦しそうな声を最後にAの力が抜けていくのが分かる

この怪我では当前か、敵も引いてゆき
日も暮れてきた為一度本陣へもどりAの手当てをしよう

賁「番陽、一度戻るぞ」

番「ははっ！」

歌練軍の天幕はもう建ててあり、A側近らしき者に案内をされその中にAを抱えながら入る。簡易的な寝所に横にさせ、まずはいつも身につけている白い甲冑を全て外した、返り血で赤く濡れていた
こちらも相当な激戦だったが、援軍も無しに四方八方からの包囲を抜け、こちらに向かっていた媧燐本軍を裏からついた二軍も激戦だったと思われる。昼に聞いた話だと彼を庇いこの怪我を負ったのだとか、救護兵は部下の手当で精一杯であるため俺がAの手当を頼まれた。本当の理由はきっと他にあるのであろう、要らぬ気遣いを
甲冑を外し終わり血に濡れた衣服を脱がそうと下帯に手をかけた
手当をするのに肌を見るのは仕方の無いことだ、だが例え恋人同士だとしてもそれを見るのは初めてで少々抵抗がある
その為、やはり辞めておこうという決断に至った。
下帯から手を離す

「あとは頼む」

「はい、お任せ下さい」