音に想いを乗せて。〈キングダム〉 (ページ20)

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16 : 王賁の貴女への想いページ20

王賁side

明日開戦されると思われる今回の戦のために肩慣らしということで槍を振るっていた。余程集中していたからか

『暑っつ！！』

その声を聞くまでAの存在に気づかなかった。

「何故ここに居る。」

『何故って…君に会いに来た』

その言葉を聞き無意識のうちに期待をしてしまう自分がいた、でも嫌な気はしない為受けいれた。

「……そうか」

『あーと、少しは休憩しないと明日に響くよ』

「一理あるな。」

『でしょでしょ？
ほらこれ、お酒とニラ饅頭。おっきい戦争が始まったら食べれないから今のうちに〜って』

手に持っていたものを床に置きすぐ側に彼女が座った。
息抜きに丁度いいので自分も隣に座る、一口食べるととても美味しく少し口角があがる、すると彼女は酒を口にしていた。

「…美味い」

『私の屋敷の近くに饅頭とか菓子とかが売ってる店があってさ、そこがすっごい美味しくて戦がない時は毎日のように行ってるんだ笑』

饅頭を口にしながら話を聞くときどき相づちを打ちながらゆっくりと、するとじっとこちらを見つめる視線を感じ、ふとそちらを見るとAがこちらを見ていた。不覚にも美しいと思ってる自分が居て胸がぎゅっと苦しくなった、Aが正面へまた顔をふいっと戻したため、同じように自分も顔を逸らした。

賁･A「A … ( あの… )」

声が重なり不意にも笑ってしまった。それと同時にAと居るのが‘楽しい’と感じるようになった。

『さっき見たいな鍛錬、毎日してるの？』

「嗚呼」

『うげぇ……私なら絶対無理！！腕引きちぎれちゃいそう』

「有り得ん。試してみるか？」

『ア、ソレハエンリョシトキマス。』

「遠慮は要らぬ」

『無理無理無理無理！！そんな体力私には有りませーん！！！』

「落ち着け、A」

『ごめんさい』

からかいながらも相槌を打って話を聞く、暫くは酒を飲みながらこの時間が続いた。

急に声が聞こえなくなりどうしたのかと思うと自分の肩に感覚が、それは頭を寄せて熟睡しているAだった。
自分の寝所へ運ぼうかとも思ったが丁度端っこに座っていたため後ろには倒れる可能性は無い、そしてこの体勢も悪くはなかったため横に倒れぬようにAの腰に手を回した。色恋沙汰の経験は全くない為服の上からと言えど、女性に触れるのは初めてだった。