Past：初恋 ページ3
これは幼い頃の話で私の初恋の話。
五歳の私には公園に通うという日課があるわけで、そこでの在り来りな詰まらない話なんだけれど。今じゃ良い思い出で、しかし記憶に残っていない思い出だ。矛盾してるって思い出って大体そうじゃない?
その人に会ったのは確か夏の半ば頃で、毎日溶けそうになるほどに暑かった。長期休みに入っていた私は殆ど公園に入り浸っていた。帰りが遅いと母に怒鳴られたこともあった。
まだ物心ついた頃だったから顔をハッキリと覚えていない。眼鏡を掛けていたような掛けていないようなぐらい。日曜日のパパを連想させるようなポロシャツだったのは覚えている。
若いのに洒落た格好していないから驚いたんだと思う。私の兄より上ではあるが、20代半ば頃の若さに見えたからお洒落した方が良いのに……そう思った。まぁ、ダサい格好がお兄さんの第一印象。
「……お仕事お休みなの?」
「ｯ!?……うん、いっぱい働いたから」
「Aはねぇ!!長いお休みなの!!」
その返しに微笑むお兄さん。母さんが居たら知らない人に話し掛けちゃいけないって怒られていたんだろうけど。あの日は近所のおばちゃんだったから会話が途切れることなく進んだ。
お兄さんは仕事で動いていたら怪我をしてしまい、休養中だと言っていた気がする。大人の彼からしたら幼児の話なんて詰まらないものだろうけど毎日笑顔で聞いてくれていた。
長期休みも終わりが近くなってきたある日。
「Aね、昨日の夜にお兄さんが居なくなっちゃう夢見たの……お兄さんが居なくなるのは寂しいからね、居なくならないで欲しい」
振り絞った声は少し震えたような声だった。五歳児が一丁前に何を言っているのか、だんだんと馬鹿馬鹿しく思えてくる。お兄さんの返答は惑いながらのNo回答。
「実は近々遠くに行かなきゃいけないんだ」
明らかに肩を落とした私の頭を優しく撫でてくれる。いつの間にか落ちていた陽に照らされて橙に染まるお兄さんの顔。申し訳なさそうに下がる眉はいつもより威勢がない。
考えもなしに伸ばした手はお兄さんの肩へ。知らぬうちに募り溢れた想いは行動となって現れてしまった。ふにゃり、意外と柔らかい彼の頬は私の小さな唇で少し形を変えた。
「お母さんには秘密ね、怒られちゃう」
「……これも秘密にしてくれ。俺の名前は＿＿」
「って感じで名前覚えてないんだよね。でも飯田とお兄さん、似てる気がするなぁ……」
「……僕の初恋の人も」
「わー!聞きたくなぁい〜!!」
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めめ - グッｯｯｯｴﾛｲ…最高です。これからも鼻血を出しながら応援してます。 (2020年5月12日 1時) (
レス) id: b778857664 (このIDを非表示/違反報告)
はなぢ(プロフ) - 飯田くんと浦埜さんのカップルめちゃくちゃ素敵です…!!!二人とも生き生きしてて、なんだか本当にが居るみたいでシリーズ一気に読んでしまいました!!!!!!大好きです!!!続きを楽しみにしています!!!!!! (2019年7月11日 4時) (レス) id: 1b42be763c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バーコード | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=sakur01
作成日時：2019年4月25日 23時
