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彼が私を忘れかけているらしい。
と言うのも先程、検診を終えた彼が笑顔で私に駆けて来たのだが数十秒すると今度は私が看護師に呼び出されたのだ。寂しげな顔をする彼を置いて声のした方へと足を進めた。何時も通りではあったのだが少しザワつく胸を無視するのは容易い事では無かった。
そして、案の定と言うべきか。リカバリーガールから告げられたのは冒頭の言葉である。朝に見た不安気な表情もそれのせいだったのかと額に手を当て深く息を吐いた。気付いてやれなかったと悔しく思うと同時に何故言わなかったのか言及してやりたくなってしまった。
「個性の持続期間は明確になったけれど、彼が今の記憶を保てるのは時間の問題だね。それと良く聞いて欲しいのがここからさ……個性について新しく聞き出したようでね。今の記憶が無くなってしまうとまた暫くあの姿のままらしいんだよ」
上手く言葉を理解することが出来ない。記憶が無くなると持続期間が延びる?記憶を保たせるにはどうすれば良いのだろうか。最も、攻撃者が易々とそんな事を答えるわけも無く私は今悩んでいるのだが。
私の指を可愛らしく握り締め辺りを見回す小さな彼。幼さを感じる行動に不安を覚えてしまう、今朝にはこんな焦りは無かったんだけれど。今にも私の事を忘れ自分の立場を忘れ大人であった事を忘れてしまうのではないだろうか。
「……天哉、暫く仕事の休みを貰ったよ」
「そうか!そしたら一緒に居られるな!!」
天使の様な微笑みにつられて微笑む。これは彼自身の気持ちだろうか、普段なら言わない言葉の羅列にまた不安が過ぎる。少しでも彼を感じていたくて彼を抱き上げると驚きはするが笑ってくれた。
「天哉は私の事好きか?」
「勿論だ!Aが1番だぞ!!」
小さな唇に軽く接吻をすれば弱々しく頬を叩かれた。不機嫌に眉を顰めてしまった彼は数秒すると幸せそうに微笑んで頬に何度も接吻を落としてくる。
＿＿彼に会いたいな……
もう少しの辛抱だと自分に言い聞かせていたのに。"小さな彼"に触れる度に"いつもの彼"に触れたくなる。事務所に連絡を入れ暫くは自宅勤務を希望すればかなり簡単に了承を得られた。復帰したらこき使われるのは目に見えている。
仕方ないだろう、市民より彼を優先してしまう。
ヒーローとして失格だ。
「天哉を置いて行けないしね」
「……ずっとそばに居て欲しい」
「……りょーかい」
続く
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めめ - グッｯｯｯｴﾛｲ…最高です。これからも鼻血を出しながら応援してます。 (2020年5月12日 1時) (
レス) id: b778857664 (このIDを非表示/違反報告)
はなぢ(プロフ) - 飯田くんと浦埜さんのカップルめちゃくちゃ素敵です…!!!二人とも生き生きしてて、なんだか本当にが居るみたいでシリーズ一気に読んでしまいました!!!!!!大好きです!!!続きを楽しみにしています!!!!!! (2019年7月11日 4時) (レス) id: 1b42be763c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バーコード | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=sakur01
作成日時：2019年4月25日 23時
