おかえり ページ20
「晩御飯、何が良い?」
「何でも良いよ。久々に浦埜くんの手料理が食べられるんだ」
「え?私が作るの……あ、いや、そうだね。作ったげる」
目を覚ました飯田の隣を歩く。本当に久々で、今までどう会話をしていたかが分からなくなっていた。殆ど会話がないままスーパーにより食材を選んでまた帰路に戻った。
不意に感じた温もりは小さいものだった。彼の顔と見れば既に反らされていて、チラリと見えた耳は紅く染まっていた。久々に胸を締め付けられたな。あー、コイツ何やねんクソが。
愛ゆえの暴言だと思う。普段こんなに暴言吐かないもん、え?爆豪は例外だよ。絡んだ指に力を入れると軽く飯田の方へ体ごと引かれる。
なんで帰路でこんなイチャついてるんだろうか。誰か止めて、いや止めないで。何をしてんだ、私は。
あ、そうだ……言わなきゃいけないな。
もうすぐ家に着く、そんな時に思い出した。
「ねぇ、聞いて?私ね……途中で飯田のこと諦めた。見付かる可能性を捨てて、家に帰ったらお前の居ない生活を考えた。飯田が居なくなったらどうなるんだろって。
今までと同じ生活は出来ない。帰って来ない、もう探すのが辛い。高校生に諦めんなって遠回しに言われちゃったよ。これじゃ、どっちがヒーローだか分かんないね。
おかえり……天哉ぁ!!」
ドアを開ける前のことだった。線が切れたように溢れてくる涙を止める事は出来るはずも無く、頬を伝いコンクリートに染みを作る。彼は困ったように笑った。
「ドア……まだ、開けてないぞ」
そこまで私は我慢出来なかったんだ。私以外に鼻を啜る音が聞こえて、結局二人とも暫く泣いていた。幸い、此処を通る人は居なかった。
最初に泣き止んだのは飯田で、涙を止めようとしない私の背中を押しながら中に入った。靴を脱がしジャンパーを脱がし、ソファまで誘導してくれた。それからだ、彼は静かに怒りを表し始めた。
途中、また涙を流していた。そっと私を引き寄せて柔らかく力を入れる。彼の大きな背中に手を回して強く抱き締める。
彼は少し離れると私の頬に優しく手を当てた。這うような手の動きに身を捩ってしまう、そんな私の姿を見て微笑む彼。
ゆっくりと近付いてくる顔に反射的に目を瞑る。他からの音が妙に耳に響いて気持ち悪い。その中にいきなり入ってきた彼の声は浮いていた。
＿＿綺麗だな。
「ばｯ……!?」
顔に集中する熱、彼の色っぽい表情。
「目、瞑ってよ」
静かに閉じれば柔らかい感触。
久々だった。
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バーコード(プロフ) - キリカゲさん» 夢中になってくれていた事が有難いです。LINEでも夢中にさせたいです(( (2019年3月3日 21時) (
レス) id: 758d8d9588 (このIDを非表示/違反報告)
キリカゲ(プロフ) - 少々遅れましたが、完結おめでとうございます。お気に入り登録もせず、夢中で読んでいた不躾がここに居ます。すみません。2人の微笑ましい日常が大好きでした。では、LINEの方行ってきます。 (2019年3月3日 20時) (レス) id: 5c0f8b1904 (このIDを非表示/違反報告)
バーコード(プロフ) - ヒマワリさん» わぁ!飯田好き少ない、飯田の良さ伝われと思って書き始めたんですけど共感者が居たなんて……!ありがとうございます!! (2019年2月19日 17時) (レス) id: 758d8d9588 (このIDを非表示/違反報告)
ヒマワリ(プロフ) - 完結おめでとうございます(^_^*)もともと飯田くんが好きで、この作品をずっと見ていました！素晴らしい作品をありがとうございました！また頑張ってください (2019年2月19日 7時) (レス) id: 0a4a398617 (このIDを非表示/違反報告)
バーコード(プロフ) - ゆうなさん» 飯田の可愛さが伝われば良いなと思い書いていました、笑。無事?伝わったみたいで良かったです!最後まで読んで頂きありがとうございました!! (2019年2月19日 0時) (レス) id: 758d8d9588 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バーコードくん x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=sakur01
作成日時：2018年8月12日 22時
