普通 ページ1
朝、目覚ましが鳴る。
柔らかい白の枕に顔を埋めながらそれへ手を伸ばす。カチリ、そう小さく音を立てて目覚ましは止まる。暫く布団で静かに動く。
目を軽く擦り、まだハッキリしない意識の中、ゆっくりと布団の外へと足を出す。
冷房で冷えた床に足を付け身体を起こす。汚い声が出たが気にする程意識は起きていない。
重い足取りでリビングへ進む。扉を開けると珈琲独特の匂いが香る。匂いに少し眉を寄せた。
あぁ……またか。
「飯田……なんで先食べちゃうかな。」
「ん？冷めてしまうし時間も無くなってしまうだろう？キミは昨日遅かったし、起こしにくい。」
「そう言って珈琲飲んでるし。無理にでも起こしてよ、一緒に食べたいっていつも言ってるじゃん。」
「しかし……。」珈琲を片手にニュースを見る飯田はエラく様になっている。私は唇を尖らせながら朝食が用意された机へ。
顔が整っている、料理が出来る、高収入となったら世の女子から好かれまくるだろう。まず顔が整っている時点で勝ち組である。
ズルい、後ろ姿を見詰めながらそんな事を思う。
未だ湯気の立つ味噌汁を口元に運び息を吹き掛ける。
一面に広がる波紋。いつも通りだな。
2人共仕事で忙しいのは重々承知している。しかし一度で良いから一緒に食べたい。
当たり前だ。恋人だし、一応。
「次の休みいつ？」
「来週の14､15だな。」
「2日間？珍しいね。私……空いてねェ。まるで社畜だよ、一応ヒーローだよな？」
「ヒーローだからだろう。その分頼られているって事さ。良かったな。」
テレビの電源を落とし立ち上がる姿を目に入れる。もうそんな時間か、忙しいねェ。口の中で広がる旨味に感動しながら彼の忙しさを憎む。
どっちもヒーローじゃ無かったら休みとか被ってデート、とか出来るんだろうな。
今じゃ出来たとしても緊急呼び出しが来る時あるし、まともに楽しめない。
飯田はシンクにカップを置く。朝食を中断し玄関に向かう彼に付いて行く。靴を履く飯田に何時に帰ってくる、夕飯は何が良いかを聞く。今日の朝はアレだがそれなりに彼女してるのだ。
立場逆転してる。なんて慣れた台詞だけれど。
そう言われる程、私は男らしいようだ。
「休みだからと言ってグータラするのはいけないぞ。洗濯と……あと掃除も頼む。」
「ん、行ってら。」
「あぁ、行って来る。」
互いに手を振る。
扉が閉まるのを確認して朝食の元へ戻る。
これが私が休みで彼が仕事の時の普通。
いつも通りの日。
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バーコード(プロフ) - キリカゲさん» 夢中になってくれていた事が有難いです。LINEでも夢中にさせたいです(( (2019年3月3日 21時) (
レス) id: 758d8d9588 (このIDを非表示/違反報告)
キリカゲ(プロフ) - 少々遅れましたが、完結おめでとうございます。お気に入り登録もせず、夢中で読んでいた不躾がここに居ます。すみません。2人の微笑ましい日常が大好きでした。では、LINEの方行ってきます。 (2019年3月3日 20時) (レス) id: 5c0f8b1904 (このIDを非表示/違反報告)
バーコード(プロフ) - ヒマワリさん» わぁ!飯田好き少ない、飯田の良さ伝われと思って書き始めたんですけど共感者が居たなんて……!ありがとうございます!! (2019年2月19日 17時) (レス) id: 758d8d9588 (このIDを非表示/違反報告)
ヒマワリ(プロフ) - 完結おめでとうございます(^_^*)もともと飯田くんが好きで、この作品をずっと見ていました！素晴らしい作品をありがとうございました！また頑張ってください (2019年2月19日 7時) (レス) id: 0a4a398617 (このIDを非表示/違反報告)
バーコード(プロフ) - ゆうなさん» 飯田の可愛さが伝われば良いなと思い書いていました、笑。無事?伝わったみたいで良かったです!最後まで読んで頂きありがとうございました!! (2019年2月19日 0時) (レス) id: 758d8d9588 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バーコードくん x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=sakur01
作成日時：2018年8月12日 22時
