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病室の前の緑のソファは2人掛けらしくて
俺から10分遅れて病室から出てきた川島は
差し出したコーヒーの缶を「いただきます」って受け取ったら
隣の壁に寄りかかった。
照「……お前、どこまで知ってんの」
川「どこまでを、「どこまで」って呼ぶのかは
線引きが難しいけど
……一番、個人的な意見を言うとしたら全部です」
まどろっこしい言い方すんなよ
頭のいい後輩に、出かかった悪口は
コーヒーと一緒に、無理やり飲み込んだ。
……苦い
川「多分、Aさんは憶えていないと思います。
僕が大学の文芸部の後輩だってこと」
照「……マジ？」
川「だって、話したこと1，2回くらいしかありませんもん(苦笑)
Aさんは、その時もう人気作家で
部活にはほとんど出てなかったから」
苦笑いの川島は、コーヒーを飲むと
ゆっくりを目を細めた。
川「だから、僕の知ってる橘Aという人は
ほとんど、阿部先輩からの経由なんです」
照「阿部、……お前、知り合いだったの？」
川「はい。阿部先輩もまた、僕にとってはかけがえのない
恩人みたいな人だから」
嬉しそうに目の端をくしゃっと寄せた川島は
何色か分からない溜息をついて
ずるずるとその場に座り込んだ。
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川「え、……あのっ、」
『どうした、川島』
川「この作品、書いたの誰ですか！？」
手折りのアンソロジーを目次を指しながら
ぎょっと近づいた僕を見て
先輩もぎょっとしながら
『あぁー、2年の橘ってヤツだよ。
今、鈴掛A？かなんかの名前でデビューしてんの』
と、パイプ椅子を揺らしながら、そう教えてくれた。
川「鈴掛A……、」
口にしたその名前は
春風みたいな高揚感と、ときめきを連れていた。
それはまるで、
初めて読んだ彼女の作品と同じような気分で
川「え、とその、橘先輩とお話しすることって
できるんですか？」
『そうなぁ、うちは作品出せば
活動に参加してなくてもいいし。
橘、飲み会にもほとんど来ないからな』
「そう、ですか……」
その答えを聞いた僕は、明らかにがっかりしていて。
川「どんな人なんだろう……」
そう呟いた気持ちに名前をつけるとしたら
あれは、間違いなく一目惚れだったと
そう思う。
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さくまり(プロフ) - primulasieboldiさん» 初めまして、そうなんです。私も最初はそのつもりで描いてました(笑)でも感動してくださったのならシフトチェンジしてよかったです(笑)金のさくま面白かったですか？個人的にも気に入ってるので嬉しいです。これからも応援よろしくお願いします。 (2021年6月10日 0時) (
レス) id: 9bcf79dd74 (このIDを非表示/違反報告)
primulasieboldi(プロフ) - はじめまして！小さいさくまとのほのぼのと思いきや、とても胸を打つお話でとても感動しました(*´ω｀*)おはなしのおはなしに出てくるおとぎ話の金のさくまが出てきたところでめちゃくちゃに吹き出しました( *´艸｀)これからも応援しています(*´∀｀*)尸" (2021年6月8日 18時) (レス) id: ebd762a95e (このIDを非表示/違反報告)
さくまり(プロフ) - みるくさん» みるくさん初めまして、返信遅くなってしまい申し訳ございませんでした。そうでしたか、それはとても嬉しいです！その方もとても素晴らしいお方なだけに恐れ多い気もしますが、こうして紹介してくださったからには気を引き締めて引き続き連載頑張りますね。 (2021年2月28日 5時) (レス) id: 9bcf79dd74 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - はじめまして！！Twitterの閲覧垢でフォローさせていただいてる方が《オススメの書き手さん紹介》というツイートしてらっしゃって､そこからきました！ほんとに内容が素敵で一気に全部読み進めてしまいました！これからもずっと読ませて頂きます！応援してます！！ (2021年2月7日 21時) (レス) id: 1f11884fda (このIDを非表示/違反報告)
さくまり(プロフ) - しーさん» しーさんありがとうございます！かわいいですよね(笑)ちなみに「にゃだぁぁ！しゃくま、おうちかえりゅっ！」って言いながら逃げ回ってるみたいです(宮舘先生によると)これからもぜひ、お付き合いお願いします！ (2021年2月1日 3時) (レス) id: 9bcf79dd74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくまり
| 作成日時：2020年10月10日 4時
