しゃくまのおひるねじかんっ！ (ページ43)

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舘「実を言うと、これまでのモニターの中で

　さくまはトップクラスで調子がいいんです。

　……元々、悲しいことがあったのに

　今はそれを感じさせないくらい笑ってるし、楽しそうだし。

　貴女も、さくまを見る時の目が優しい」

「そう、ですか……(笑)？」

舘「まだ、先のことにはなりますが

　或いは、このまま……なんてこともあるんじゃないかって

　僕は勝手にそう思っています」

「は、ははは……、どう、でしょうね、」

不器用に笑って首を傾げる私を

ずっと宮舘さんは見つめていて

きっと、心の中なんてお見通しなんだろうな

そう思って、目を逸らす。

さくまの試用期間は半分を過ぎた。

まだ、まだ考えなくてもいいと

自分の心に言い聞かせて、笑みを浮かべなおす。

「ゆっくり、考えます」

舘「……無理はしないでくださいね。

　大丈夫だと思って引き取った方の中でも、

　悲しい結末を迎えられた方は、いらっしゃるので」

そんな、釘を刺すような言い方をしないでくださいよ

考えなきゃいけないことが、増えるから

曖昧に笑って誤魔化したら

「失礼しました」と、逃げるように診察室を出た。

施設の中を白い服で歩いている子は

この施設で預かられている子

普通の服を着ている子は、

さくまみたいにお家で預かられている子

さっきの2人は、白い服を着ていた

あの子たちは、いつか別々にモニターなりを受けるんだろう

引き取られた時、どう思うのかな

嬉しい？

それとも寂しい？

私達は、人間はどう見える？

家族に見えるの

それとも、可哀そうな生き物に見えるかい

優しい心を持って生まれた、天使のような君達だから

家族なんてものは、きっと

本当はいらないはずなんだ。

きっと、さくまだって、

いや。

それは違うな、

私はただ、

さ「Aー！」

廊下の先で、さくまが手を振ってる。

あれ、おもちゃの部屋に行ったはずだったのに

笑顔で手を振るさくまの隣には

恥ずかしそうにこっちを見てる男の子がいて。

あれ、でも普通の服を着てる。

預かられてる子……？

さ「Aっ、あのね！

　しゃくまのおともだち、あべちゃんだお！」

「え、」

さ「あべりょーへーってゆーの！」

「あべ、……りょうへい……」

あ、ダメだ。

目の前が、暗い。