しゃくまのおひるねじかんっ！ (ページ42)

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『さくまくん、こちらへどうぞ』

さ「ありがとぉー」

ちょこん

くまさんのいすにおすわりしたさくまの前で

優雅に手を組んだ宮舘さんは

舘「さくま、元気だったかい？」

と、まぁ素敵な声で尋ねてから

舘「あ、レディーに紅茶を」

優雅に看護師さんへ指示をお出しになられた。

こうやって月一のペースで会うのはいいんだけどさ、

相変わらず慣れないよね、この優雅さ

カウンセラーにはどう考えても見えないし、

薔薇の花や白馬の置物で飾られたこの部屋も

診察室には絶対見えない。

まぁ、それでもこの部屋に入ったらリラックスしてしまうのが

宮舘さんのすごいところではあるんだけども

さ「だてしゃまぁ、しゃくまねっ！

　およめいっぱいなの！」

舘「あれ、また増えたの？

　今度はどんなプリンセスなのかな？」

さ「あのね、あのねっ！」

きらきらしたおめめでおよめについて話すさくまと

うん、うんって頷きながらそれを聞いている宮舘さん

こういう、大人にとってはなんでもないことでも

子どもと一緒に話をできる人じゃないと

きっとカウンセラーになんてなれないんだろうな

私じゃ、きっと無理ね

だって、大人同士の話だって大事なことを聞きそびれるのに

舘「ピーマンが好きになった、えらいね。さくま」

さ「にゃはっ！

　Aのごはん、おいちぃーの！

　だてしゃまも、いっしょにたべよ！」

舘「そうだね、いつか食べたいなぁ」

ちらっとこっちを見る視線は

実に優雅で

庶民飯でございますが、お口に合いませば

と、取り合えず、笑ってみる。

舘「じゃあ、おはなしは終わり。

　Aさんとおしゃべりするから、

　少し遊んでおいで」

さ「うんっ！だてしゃま、またねぇ！」

お口の周りにクッキーの欠片をくっつけながら

さくまは、とことこ診察室から出ていった。

看護師さんも同行してくれたし、

行き先は明白だから、安心して見送れる。

舘「……調子は、いかがですか？レディー」

診察室のドアから振り返ったら

さっきまでとは少し違った笑みを浮かべてる宮舘さん

「まぁ、お陰様で。ぼちぼちと」

舘「そうですか、さくまがあれだけ元気なのも

　きっと、貴女がたくさん愛を注いでくださるからでしょう。

　私達は、とても感謝しているんです」

感謝なんて、

そんなの私がし足りないくらいなのに