しゃくまのおひるねじかんっ！ (ページ41)

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・けんさのはなしページ41

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バタンッ

照「わりぃ、帰りも迎えに来たかったんだけど」

「ちゃんと仕事しな。

　締め切り近いんでしょ？」

照「分かってるけど、お前には言われたくねぇ……」

あら、そうだっけ？

すっとぼけた顔をしてる隣で

ぴょん！と車から飛び降りたさくまは

いつもよりごきげんで

さ「Aっ、はやくぅ！」

って珍しく手を引っ張るから

急かされるように照君の車を見送った。

さ「だてしゃま、いりゅかなぁ……」

「いるよ(笑)だってだて様に会いに行くんだもの」

さ「しょっぴぃは？」

「しょっぴーは……、分かんないけど」

何回か話には出てきたんだけど、

しょっぴーの正体を、私は実は知らない(笑)

研究所の子どもたちがみんな大好きって言ってたから

多分、犬かなんかだとは思うんだけど。

「すみません、11時から定期健診の予約をしていた

　す、橘ですけど」

『橘A様と、さくまだいすけくんですね。

　すぐにご案内いたしますので、待合所でお待ちください』

はぁ……、いかんいかん

日頃、「鈴掛A」って名乗ることの方が多いから

「橘」って苗字に、少しだけ戸惑う。

生まれてから20年以上付き合ってるものなのにね

記憶って案外脆い

さ「あっ、ゆきちゃとたまっ！おぉーい！」

そわそわとソファにおすわりしてたさくまが

ひょっこり顔をだして手を振る。

セラピーキッズって、まぁそれぞれ性格は違うらしいけど

割とおとなしい子が多いから

さくまの声は往来のあるロビーでも特に目立つ

まぁ、それはさくまのいいところだし

私も、そんなさくまが好きな訳ではあるけど。

声をかけられたお揃いの服のちっちゃい子たちは

さくまを見つけたら

チラッと周りを見て、とっとこ近づいてきた

ゆ「さくまぁ！あそびにきたのぉ？」

さ「んーん！だてしゃまとおしゃべりぃ」

ゆ「そうなんだぁ」

た「ねーねっ、あしょんでしゃくま！」

さ「んー、でもぉ……」

ちらっ

「だて様とおしゃべりが終わったらね」

さ「はわわっ、やたぁー！

　あしょぼ、たま、ゆきちゃっ！」

た「うんっ！」

ゆ「あとでおもちゃのへやでね！やくそくねっ！」

さ「ん！やくしょく！」

あとでねー！ってうれしそうに走っていく2人に

手を振るさくまの明るい声が、またロビーに響いた。