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辰「おまっ、え、え?」





先輩、湯切りの途中ですけどいいんです?


あと、やかんピーピー言ってますけど









辰「え、A。……どこの子だよ」





仕事そっちのけで凝視される私の足元には


ぎゅっとしがみついてぷるぷるしてるさくまの姿





あー、そっか言ってなかったっけ?






「え、うちの子ですけど?」




辰「それ聞いてんじゃねぇの!

 その、……どこの男の、」



「え?気になります?

 安心してくださいよ、ふっかさんの子どもじゃないんで(笑)」




辰「あ、ったりめぇだバーロー!!」





あ、怒った怒った(笑)


昔から怒るとすぐ耳赤くなるんだよな、この人



チラッと横目でべっぴんちゃんを見てみたら


何とも言えない顔でふっかさん見てるし






……イジメるのはこのくらいにしとこ


じゃないと、ラーメン没収されそう



ってことで、怯えてるさくまの頭をなでたらネタばらし






「……ってなわけで、うちでお世話してるのよ。

 人見知りなんだけど、よくしてやってね?

 バケモノぱいせん(笑)」



辰「バケモノ言うな、」



さ「ばけものぉ?」





べっぴんちゃんが出してくれたお子ちゃま用のいすに


ちょこんとおすわりしたさくまが、首をかしげる。





「あぁ、この人ね人より顔が大き、」



辰「余計なこと言ったらチャーシュー抜くぞ?」



「いいじゃない、

 子どもの興味を削ぐんじゃないの(笑)」





ぶつくさ言ってるバケモノ先輩に

いつも通り醤油ラーメンを頼んだら、


そわそわしてたべっぴんちゃんが


隣の席にズンズン近づいてきた。





およよ?なにごとかしら




と、思ったら


さくまに負けないくらいキラッキラした目で





『あ、あの、間違ってたら申し訳ないんですけど

 小説家の鈴掛A先生じゃありませんか!?』



「あはは、この顔見たことあります(苦笑)?」






やっぱりメディア露出するんじゃなかったな





若かりし頃の後悔を今更のようにしてたら


ガッ!と右手が拉致られた。





『私、鈴掛先生の本読んだことあります!

 「君よこい、と夏。」とか「サマラバ!」とか

 私も参考にさせてもらってて、』



「あ、どーもどーも?」




いや、めちゃくちゃテンションあがってるけども。




さくまがビクッと反対側の腕掴んでるし


ちょっと、お兄さん?






辰「あー、あんま気にしないで。

 この子、漫画家なのよ」




あ、なるほどね。

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作者名:さくまり | 作成日時:2020年9月16日 4時

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