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膝立ちになった佐久間さんが、腕を伸ばして私を抱きしめた。
その腕に包まれたら心臓が破裂してしまうかも、なんて想像したこともあったのに、温かな体温にむしろひどく安心して懐かしいような気持ちがした。
私が泣き止むまで抱きしめた後、彼はそっと肩に手を置いて身を離す。
「俺も大好きだよ。この世の誰よりも」
それは、本当？
それとも閨を盛り上げるための形ばかりの睦言？
今はどちらでもいい。
今宵だけでもあなたと恋人ごっこができるなら。
「Aって呼んで…」
A、そう低く情欲に掠れた声で私の名前を紡ぎ、目を細めた彼は私に口付けた。
小雪は妓名だ。本名を明かしたなんて妓楼の人間に知られたら叱られるけれど、伝えずにはいられなかった。
呼ばれるたびに私が喜ぶので、彼は何度も私の名を呼び、熱く激しく抱いた。
心ごと抱かれるのがこんなに気持ちが良くてこんなに幸せだなんて、知らなかった。
上り詰めすぎて咽び泣いて呼吸すらままならない私の背を、あやすように彼がとんとんと叩く。
少し落ち着きを見せるとまた深いところも浅いところも隈なく愛された。
駄目だ、本当は私が気持ち良くさせなきゃいけないのに。
もう上も下も訳が分からなくなってしまう。
まずい、と思いつつ私は初めて客との床で意識を飛ばした。
もう秋なのにさっきまでの行為のせいで熱気のこもる部屋に、開いた窓から涼しい風が吹き込む。
虫の鳴く声がしていた。
意識が浮上し、薄ら目を開ける。
身体中が重怠くてどこにも力が入らない。
汗で湿気た布団の私の隣りには誰もいなくて、目線を上げれば美丈夫は窓辺の畳に片膝を立てて座り月を眺めていた。
着流しを着てゆっくりと扇子で扇いでいる横顔は涼しげで、消えてしまいそうに儚い。
私の視線を感じたのか、彼はゆっくりとこちらを見た。
「起きたの？俺のことは気にしなくていいから。もう少し寝てな」
微笑まれて安心する。
「夢で会おうね」
そう言われたのを聞きながら、私の瞼は再び閉じていった。
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ゆきんこ(プロフ) - ふさん» ふ様、こんにちは！3人とも好きでいてくださり嬉しいです。ありがとうございます！癒しになったとの事で、そう言ってもらえるこちらこそそのコメントに癒されました。それぞれ作品作り頑張りますね！本当にありがとうございました。 (2021年2月7日 12時) (
レス) id: 32279ed1b4 (このIDを非表示/違反報告)
さくまり(プロフ) - ちょなさん» ちょなさん、ありがとうございます！『午後３時、〜』を描いたさくまりです。そうですね、芸術という浮遊感のある題材がうまく融合した結果かなと思ったりしてます(笑)他にも非現実的なサクマさんを個人的によく描くのでよかったら遊びにいらしてください。 (2021年2月7日 12時) (レス) id: fd6b65100e (このIDを非表示/違反報告)
ふ - 御三方のファンなので、この作品と企画に心躍って日々の癒やしになりました！儚い中に身体が熱くなる瞬間が散りばめられてるので幸せになりました。個々の作品もこれからも楽しみにしてます☆ (2021年2月7日 11時) (レス) id: 3ae47a3069 (このIDを非表示/違反報告)
ちょな(プロフ) - さくま担ではないのですが、お話を読むともっともっとさくまが好きになりました。全部大好きな作品なのですが、特に午後3時〜は非現実的なお話ですが話に入り込みすぎてしまい最後には涙が出てきてしまうほどでした…笑 (2021年2月7日 10時) (レス) id: c0ece75cb2 (このIDを非表示/違反報告)
さくまり(プロフ) - Ricoさん» Ricoさんこんばんは、こちらの作品にもいらしてくださってありがとうございます！即読み感謝です。喜んでいただけたみたいで私も嬉しい…、またやりたいなぁとは私も思っているので、その時は遊びにいらしてください。桜のサクマさんもいつでも待ってます。 (2021年2月7日 0時) (レス) id: 9bcf79dd74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐久間愛で隊☆ x他3人 | 作成日時：2020年10月14日 13時
