ゆきだるまと僕 (ページ25)

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落ち込んでとぼとぼ歩いてたら、初めて見た喫茶店やった。ゆきだるまって書いてあった。

なんとなく、落ち着きたいなと思って入ったら若い男二人が切り盛りしてるお店だった。

「いらっしゃい。お好きな席へどーぞ。」

少しチャラそうな男が気だるそうに接客してきた。
これが後に仲良くなるふっかさんやった。

「何にする？俺のオススメはコーヒー。」

「じゃあ…それで。」

「はいよ〜。」

落ち着きたい一心で入ったのはいいが、店内に客は俺だけ。逆に落ち着かない空間やった。

届いたコーヒーを飲み、それでもなお落ち込んだ顔をしていると声を掛けられた。

「君さ、何に悩んでるの？」

「え？」

「明らかに落ち込んでます〜、どうしよう〜って顔してんじゃん。聞くよ？今の客、君だけだし。」

実は…といって事情を話すと彼は真剣に話を聞いてくれた。知らん間にもう1人のロイヤルな雰囲気漂う男も一緒になって話を聞いてくれた。

「君がさ、焦る気持ちも分かるよ。でも焦っちゃいけない、今もこれからも。それは人生において良くないよ。」

「じゃあどうすれば…。」

「受験って確かに気が重いししんどい。俺は大学受験やってねーけど、高校受験の時そんなんだったし。けど、焦ってもいいことなんて無いなって思ってた。自分のペースでやったら合格したよ。焦ってもいいことなんて何一つない。だったら今自分が出来る最大限をやるべきじゃない？」

「ふっか上からすぎ。間違えたことは言ってないけどね。でも、君が出来る最大限は今やっておかないと死ぬほど後悔する。」

「あの…ありがとうございます。なんか初めましてなのに話聞いてもらって。」

「いいよ、気にすんな。俺は深澤辰哉。ふっかって呼んでいいよ。」

「宮舘涼太です。」

「向井康二…です。」

互いに自己紹介をして、その時にふっかさん達は阿部ちゃんや佐久間くん達の先輩だと話をしていた。

「康二、阿部は多分康二のこと心配してるよ。仲直りしてきな。俺も着いてくから。」

ふっかさんはそう言ってくれた。

巻き込んでしまう形にはなったがお言葉に甘えて阿部ちゃんと仲直りをした。

阿部ちゃんも自分がしっかりしなきゃいけないのに、プレッシャーを与えてしまったかもと後悔していたらしい。

お互いごめんってして、さらに仲良くなった。

そこから受験も無事に合格して、みんなと同じところに行けるのが嬉しかった。