ゆきだるまと僕 (ページ11)

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もう梅雨の時期。

湿気だらけで髪の毛もまとまりにくくなりつつあるこの時期。

雨が降り続けて気分は落ちがち。

そんな中でもやっぱ通ってしまうゆきだるまに今日も顔を出した。

「こんにちは〜。」

「ラウール、いらっしゃい。お好きな席に座って。」

「あれ？舘さん？珍しいね、表に出てるの。」

「今日ふっか体調崩しちゃって。俺が1人で店回してる。」

「え、ふっかさん大丈夫なの？」

「ただの風邪っぽいけどね。まぁここ最近働き詰めだったから疲労が来ちゃったのかな。」

ゆきだるまは定休日は無いが、お店都合で突如お休みしてしまう時もある。
まぁ、2人の予定が合わなかったりするからそれはしょうがない。

むしろ働きすぎじゃない？って思うから定休日とか作って休んで欲しいくらい。

でも舘さん1人でまわすの大変だろうなぁ…と思った僕はこんな提案をした。

「舘さん！僕お手伝いします！」

「え？ラウールが？」

「うん！お給料は要らないよ。その代わりお店閉めたら賄い出して欲しいなぁって。ダメかな…？」

断られるよなぁ。なんて思ってた。

だが舘さんは僕が予想してた答えと違う答えを出した。

「そしたらお言葉に甘えようかな。今日割とお客さん来て大変だし。ドリンクとかフードは俺やるから、ラウールはお客さんの案内と運んでもらうのとお会計、お願いしてもいい？」

お会計のやり方は教えるから、と言う。

え、お手伝いしていいの？

確かに僕から提案したけど断られると思ってたからびっくりしている。

「舘さん本当にいいの？」

「手伝うって言ったのラウールでしょ？違うの？」

「ううん！手伝いたいのは本当だよ！けど、邪魔になったりしたらって思ってたから…。」

「そんな訳ないじゃん、猫の手も借りたいくらいだから。ちゃんと賄いも出すし。」

「舘さんありがとう。僕頑張るね！」

張り切りすぎてうっかりしないようにね、なんて微笑みながら僕のお手伝いの提案を飲んでくれた。

舘さんはやっぱり紳士だ、と心から思った。

最近雨でずっと嫌な気持ちだったのが一気に晴れた気分になった。

恐るべし舘さんパワー。