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〔過去〕
どこにでもあるような家庭の、四兄弟の長男として生まれた。文月家の家計を一手に支えていたのは父親であった。しかし、家での父親と言ったら酒を飲んではリビングに寝転び、気に食わないことがあれば誰にでも怒鳴り散らすような人だった。そんな中、蒼は母親の手伝いをし、弟妹の面倒を見て、ちょっと頭は悪いけど、元気で心優しい少年へと成長していった。
蒼が10歳になったある日だった。その日は雨が降っていた。仕事が休みの父親が昼間から飲んだっくれてどこかにいってしまったので、母親は父親を探しに行くと言い出した。時刻は夜の10時過ぎ。弟妹はすでに寝ているし、蒼も眠たかった。しかし、雨の中を歩く危険性は重々承知している。学校で耳がタコになる程聞かされたのだ。蒼は止めたが、母親は父親のことを溺愛していた。止めても聞かなかったのだ。父親はもし蜘蛛母親を危険な目に合わせるわけにはいけない。母親を守れるのは自分だけだ。蒼はそう思って、一緒について行くことにした。
外に出ると、幸いにも羅刹は近くにはいなかった。母親と蒼は、いつも父親が行くような場所を探し歩いていた。酒を買う店、居酒屋、商店街。商店街に差し掛かった時、裏通りから男の悲鳴が聞こえた。暗く、誰もいない街を歩くことに、すでに疲弊していた蒼は、やっと父親を見つけたかと路地裏を覗き込んだ。それが、羅刹との初対面である。くすんだ土色と、赤い髪。学校で教えられた特徴とそっくりだ。そんなことを、頭はやけに冷静に考えていた。頭は冷静だが、体はそうはいかない。逃げなくては、という考えとは逆に、体は一ミリも動かなかった。ああ、死ぬんだ。オレは羅刹に食べられて享年10歳で死ぬんだ。蒼がやけになっても、羅刹は待ってはくれない。羅刹の腕が蒼に伸びた瞬間、誰かが蒼を突き飛ばした。それが母親であることは言うまでもないであろう。次の瞬間、蒼が見たものは頭を食われ息たえた母親だったものだった。
気がつかないうちに悲鳴をあげていたのか、向かいの店のおじちゃんが蒼を呼び入れてくれた。
雨は夜が明けると共に上がった。母親の遺体はどこにもなかった。蒼はフラフラとした足取りで家路についた。家の前にいたのは、末の弟と見知らぬ男性。他の兄弟の姿はなかった。
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あしゅ(^^)(プロフ) - 朔間文秋さん» お願いします！ (2022年9月6日 19時) (
レス) id: 1b2019eb8a (このIDを非表示/違反報告)
朔間文秋(プロフ) - あしゅ(^^)さん» お誘いありがとうございます！もちろん大歓迎です！ボードに伺ってもよろしいですか？ (2022年9月6日 18時) (レス) id: d4587a0e5d (このIDを非表示/違反報告)
あしゅ(^^)(プロフ) - コメント失礼します、「ようこそ、名のない世界へ」に天乃で参加しているあしゅです。良ければ朔間さんの蒼空さんと関係を組ませていただきたいです。ご検討をお願いします。 (2022年9月6日 18時) (レス) id: 1b2019eb8a (このIDを非表示/違反報告)
糖°(プロフ) - 素敵なキャラクターをありがとうございます。神様を信仰するシスターさん、どうか幸せになって………。特に不備等はございませんでしたので貼らせていただきます。他参加者様との交流をお楽しみください！ (2022年8月30日 13時) (レス) @page45 id: da7253f1a0 (このIDを非表示/違反報告)
朔間文秋(プロフ) - ソラチカさん» お誘いありがとうございます！お待ちしています！ (2022年8月28日 22時) (レス) id: d4587a0e5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朔間文秋 | 作成日時：2022年7月2日 11時
