さ く ま う る さ い 。３

りとかんちゃん ページ33

. Soya









「そ、そーや待って、」


猪「何をそんな怯えてんだよ」


「今日の私怖くない…？」






昨日、「りとかんの見学行く予定ある？」なんて聞かれたから
明日行くけど、って言えば、なぜか着いてきたこいつ。


風雅にビビられてるのを根に持ってるのか、怖くないかとか訳わかんねえこと聞いてくるし。

怖いか怖くないかで言えば、Aは別に見た目は怖くないわけで。






猪「怖くないけど」


「そっか…」


猪「風雅がA怖がってる理由、別に見た目じゃねえし」


「え」


猪「雰囲気？つってた」


「どうしようもないじゃんそれ…」


猪「つーかどしたの急に」


「なんとなく！たまには歩み寄ってみようかなと」


猪「…作間がうるせえから程々にな」






また作間？なんて言ってるけど

なんかあったとき睨まれんの俺なんだからな？


そんな俺のことはつゆ知らず、怯えてたはずのAは一転ニコニコし始めた。






「りるみらこー好きなんだよね」


猪「あー、好きそう」


「自分たちと真逆な感じだから見てて楽しいよね」






りーるみーらこー♪なんて歌ってるAの動画、いつか作間と取引に使えそうだから盗撮。

見返したらなかなか良くて、……やっぱ俺だけで留めとこ。

Aも来ることは風雅に伝えてなくて、どんな反応するんだろ。






「楽屋行く？終わってから？」


猪「終わってからでいんじゃね？」


「楽しみだなあ」






ご存知の通りAは知念くんが好きだし、ということはJUMPさんも好きだし

セクゾのバックにずっと着いてたし、さっき言ってたLil miracleとか王道アイドル曲が好き。


実際Aは王道アイドル路線だって十分似合うし、何が言いたいかって王道とは言い難いハイハイでいいの？って思ってしまうことは正直ある。

なんてことを考えてるのが顔に出てたのか、Aに「そーや」って呼ばれた。






猪「なに？」


「何考えてるのか知らないけど、王道アイドルを見るのが好きなんであってハイハイには求めてないから」


猪「んー、うん」


「てか王道アイドル曲やりたくなったら勝手にソロでやってるじゃん私」


猪「…確かに」


「だから変なこと考えないでね」


猪「急に先輩ぶんなって」


「はー？ぶってないし実際先輩だし」






Aは人の考えに妙に敏感で、俺らしくない誤魔化し方しかできなかった。

…やっぱこいつには適わねぇなあ、









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