さ く ま う る さ い 。３

. ページ17

. Ryuto









作「ちょ、待ってよ」






楽屋を出たみっちーを追いかけて声をかけたら、

俺が来るのが分かってたみたいに振り向いた。






道「…どしたん？」


作「…」


道「…ちょっと場所移そか」






「言いたいことは分かっとるよ」って笑って、あんまり人のいない非常階段の柵にもたれた。






道「ほんまはな、宣戦布告するつもりやったんよ」


作「え」


道「なんか、さくちゃん余裕そうで腹立つし」


作「えええ」


道「Aちゃんのこと好きな人なんか、嘘みたいにおるやんか」






あいつやろ、あとはー、って俺が把握してない人の名前まで出てきて焦る。


……Aちゃん、モテすぎ。






道「せやのに、さくちゃんだけずーっと俺らの前走っとると言うか」


作「そんなことないけど」


道「そんなことあるやん」


作「…どちらにしても、Aちゃん今は恋愛する気ないって言ってたし」


道「それは知っとるよ」


作「じゃあなんで、」






いくら鈍感なAちゃんでも、第二ボタンを渡されるなんてさすがに勘づいてるはず。

みっちーは俺の顔を見て、眉を下げて微笑んだ。






道「俺がAちゃんのこと好きになったの最近やと思っとるやろ」


作「え、違うの？」


道「ちゃうよー、俺が入ってすぐくらいにAちゃんが関西のレッスン見に来てな、そのとき」


作「…」


道「俺らには真顔で挨拶しとったのに、紫耀くんとかにはめっちゃ笑顔でな、なんか悔しくて」


作「わかる」


道「ほんま？」


作「俺もみずっくんとかに対してそんな感じだった」






……みっちーとはなかなか話が合いそうだな。


凛としてて美人なのに、仲良い相手にはふにゃふにゃ笑って

Aちゃんは、知れば知るほどもっと知りたくなる。不思議な人。






道「ずーっと仲良くなる機会なくて、やっとご飯いけるまでになったんやもん」






友達で満足するの悔しいやん、って。


そんなこと、考えたことなかったなあって。






道「さくちゃんもチキっとらんとしゃんとしてや」


作「…」


道「ライバルおる方が燃えるし」


作「ええ……」


道「ほんまに時間やばいから戻るな！また！」






風のように去ってったみっちーを見送って、俺も楽屋戻るか。

誰かがAちゃんのこと好きらしい、って風の噂で聞くことはあっても、

あんなに堂々と宣言されたのは初めてで。


…俺もうかうかしてらんないなあ、









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