さ く ま う る さ い 。３

恋敵 ページ16

. Mizuki









『失礼します！』






ある日の楽屋。

コンコン、ってノックをして、礼儀良く楽屋に入ってきたのは。






「あれ、どうしたの」


道「Aちゃんに渡したい物があって！」


「そうなの？外出る？」


道「あ、ここでもええ？」


「全然いいけど」


道「すいません急にお邪魔して」






ペコペコして、俺を見て「みずっくーん」ってちっちゃく手振ってきた。

まじでかわいいよね、みっちー。

みっちーが来たおかげで気が気じゃないやつが約1名いるけど。






道「Aちゃん、これもらって？」


「ボタン？」


道「俺の第二ボタン、この前卒業式やって」


「あー、言ってたね……なんで私に？」


道「俺がAちゃんに貰ってほしいなって」


「私でいいの？」


道「Aちゃんがええの！」


「ありがとう、第二ボタンなんて初めてもらった」


道「ほんまに？」


「うん、うれしい」






視界の端で作間が死んでるのが見えるけど、俺だってびっくりしてるわこんなの。

みっちー、ガチじゃん。
まーじでAの何がいいのか知らないけどさ。






「駿佑くんのなんて欲しい人沢山いたでしょ？」


瑞「しゅんっ…！？」


「ん？なに」


瑞「駿佑くんって呼んでんの……？」


道「あ、俺がお願いしたんです、滅多に呼ばれんから呼んで欲しいなあって」






……ガチじゃん。(2回目)


しかも第二ボタン渡すとかもう告白みたいなもんじゃね？

当のAはガチで気づいてなさそうで怖いけど。






道「で、さっきの話やけど」


「うん」


道「Aちゃんに渡すために死守した」






…これはいくら鈍感なAでも気づくだろ。


みっちーこんなのに告白まがいなことしていいの？

俺だったらAなんて絶対に彼女にしたくない、めんどくさすぎる。






道「…まあ、そういうことやから、時間やばいし戻るな」


「わざわざありがとう」


道「いいえ！お邪魔しました！」


作「あ、ちょっ」






作間がみっちーを追いかけて、楽屋がなんとも言えない空気になる。


Aを見ると、手の中のボタンを眺めてる。






「駿佑くんかわいいよね」


瑞「え？うん、」


「…いいのかなー、貰っちゃって」


瑞「まあ、みっちーがいいならいいんじゃね？」






Aは、みっちーの気持ちに気づいてるのかよく分かんないくらいいつも通りで。

……あいつらも大変だな、Aのこと好きなんて。









. つづく

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