さ く ま う る さ い 。

亥清の憂鬱 ページ39

. Ryuto









Aちゃんが落ち込んでる。


ポーカーフェイスだし、本人も口には出さないけど

メンバーの勘といいますか、なんとなくわかるんですよね。






作「Aちゃん」


「なに」


作「どしたの」


「なにが」






意地でも言わないなこりゃ。


こういうときはガリさんに任せるのが1番ね。

これ、Aちゃんの取説。

何かを吐き出させるときはガリさん。


ガリさんを見ると、はあ、って溜息をついて立ち上がった。






猪「吐け」


優「相変わらずストレート」


「お兄ちゃんが」


猪「うん」


「彼女ができた」


猪「…………は？」






メンバー全員目が点。


彼女？お兄さんに？






瑞「あんなにA命なのに……？」


「ゴリラ顔なのにね」


優「どこがだよめちゃくちゃイケメンだろ」


「え、嘘だあ」


作「Aちゃんの美的感覚どうなってんの」


「作間の顔好きなのになあ、見る目ないのかも」


作「見る目しかないなやっぱり」


猪「なんでそれでAが落ち込むわけ？」


「家に1人で寂しい」


瑞「は？」






確かにAちゃんはお兄さんと二人暮しだし、

彼女ができたってことはそれなりに家を空けることもあるんだろうけど。


それが寂しくて落ち込んでるって。

そんなの聞いたらお兄さん速攻彼女と別れるよ？それくらいシスコンだよあの人？






優「心配して損した……」


「こっちは真剣なのに」


瑞「誰か呼べばいいじゃん」


「家に男入れるのお兄ちゃん嫌いなんだもん、帰ってきて鉢合わせたらうるさいからやだ」


作「Aちゃんが誰かの家に行くのは？」


「そんな理由で迷惑かけられない」


猪「めんどくせー！！！」






ガリさんが匙を投げた。


みずっこんも呆れ顔、優斗もはしもっちゃんも苦笑い。






作「かわいいなあ」


「そんな呑気なこと言ってる場合じゃないの！」


作「家に帰る時間遅くしちゃえば？誰かと時間潰すとか」


「……それアリだな」


作「でしょ？俺 毎日でも付き合うよ」


「それはいいや」






振られた。まあいいや。


Aちゃん、なんだかんだお兄さんのこと大好きでかわいいよね。かわいい。






優「…Aもブラコンだったんだ」


瑞「わりと昔からそうだな」


涼「微笑ましいよね」


猪「まあこんなことで落ち込むとは思わなかったわ」


作「かわいいなあ」






お前はかわいいしか言えねえのかって怒られた。









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