the deep end 【SA・完結】 (ページ11)

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diving deeper ページ11

『ごめんな、
レスが遅くなって

俺は元気だから大丈夫

色々気になるだろうけど
今は自分の事だけを考えて
ゆっくり休んでください』

このレスに気付くことなく寝てますように・・・。

そう願ったのに。

やっぱり寝てなかったのか。

『ありがとう』

すぐに返ってきた5文字。

でもたった5文字。

起こしちまったのか？

それとも

それだけ返すのがやっとな程具合が悪いのか？

この時雅紀がコロナじゃなかったのは覚えてる。

だけどそれ以上の何かがあったような・・・。

そうだ！

雅紀は休止のダメージを誰よりも食らってた。

そして長年続いたAMNOSの冠番組を
引き継いだ重圧は相当なものだった。

それなのに収録に穴を開けるなんて
雅紀の心情を思うと
こっちまで泣けてきそうな状況だったんだ。

そんな大事なことを今頃思い出すなんて！

夢だろうがバーチャルだろうが関係ない。

行かないと。

会えなくても行かないと。

今の俺が後悔する！

「雅紀っ！！」

朝の5時。

過去の俺が行動を起こした時間と同じような時間。

それはまるで
負けを認めるみたいで悔しかったけど。

布団の中で泣いてる雅紀が頭を過ると
居ても立っても居られず。

コンビニで
ゼリーやら何やら喉越しの良いお見舞いを山程買って
雅紀のマンションの管理人さんに預けてきた。

「翔さん、寝不足ですか？」

汐留に向かう車中で
心配そうにマネージャーが聞いてきたが
一睡もしてないとは言えず。

「ああ。俺はどこも悪くないから大丈夫。」

そっちの心配だろうことを見越して答えた。

その後の生放送では。

『なんだかいつもの櫻井さんじゃないみたい。』

『ああ、ベテラン感？漂ってるよね。』

『うん、
今もベテランだけど貫禄が備わった、みたいな？』

長年携わってきたキャスター業が出ちまったようで
そう陰で囁かれてたらしい。

そんなこととは露知らず。

昨晩眠れなかったことが響いたのか
久しぶりの生放送で疲れたのか
床についてすぐに眠れた。

おかげで雅紀とベッドインする夢まで見ちまって。

翌朝。

猛々しい下半身に手を伸ばした瞬間。

「痛っ！！」

右手にびりっと電流が走って。

この世界は夢じゃないことを悟ったんだ。