dream seeker ページ23
「しょーちゃんもいっしょにー！
はじめからうたうよー！
せーのっ！」
「「♪あるぅひんけつっ
もりのなかんちょうっ
くまさんにんにくっ
でああったんこぶっ」」
あはははっww
こんなに大声で歌えば大丈夫だよな。
まだちょっと怖いけど。
・・・ん？あれ？
クマ出没注意？？
なんか引っかかるぞ。
何かあったような・・・。
うーんっと。
なんだっけ？？
絶対なんかあったんだよなー・・・・。
「♪はなさっく
もーりーのーみーち○ち○ぶらぶらそーせーじ」
あ。
思い出した。
映画だ。
雅紀主演のホラー映画
『”あれ”がいる森』。
もしかして！
熊じゃなくて”あれ”が出るのか？！
”あれ”でお仕置き？！
確かに熊に襲われても俺はもう死んでる人間。
痛いかもしれないけど死ぬことはない。
だからホラー的脅しでくるってこと？！
やめろよー。
俺そういうの１番苦手なんだよーー。
「♪くまさーんにーでーああったんそく」
やだなー。
頼むから出ないでくれよーー。
こええーー。
こええよおおお、おっ？！
「うわあああ！！」
「どっどうしたの？！」
雅紀に肩を組まれただけなのに
大声出して抱き着いちまった。
情けねえ・・。
「か、帰ろうか。」
「なんで急に？
歌わなくなったのも帰りたくなっちゃったから？」
「なんか出そうじゃん。」
「ああ、やっぱりクマが怖いの？」
「ちげえよ。
”あれ”だよ。
森と言えば”あれ”だろ。」
「あれ？」
ん？そうか。
まだ雅紀に映画のオファーは来てない頃か。
「そ、そう。あれだよあれ。」
「なんだろう？」
「猪とか獣全般。
熊は出なくてもさ、色々出そうじゃん。」
「しょーちゃん苦手だもんね。」
「うん。怖い動物は苦手なんだよ。」
「確かにクマが出るなら他の獣も出そうだね。
引き返そうか。」
「うん。そうしようぜ。」
折角雅紀が考えてくれたおもてなしに
水を差すなんて最低だけど
頭の中が『”あれ”がいる森』でいっぱいになっちまった。
雅紀主演のホラー映画。
昔観に行ったんだよなー。
苦手ジャンルだけど
雅紀が一生懸命取り組んだ作品を
観ないなんて選択肢はなくて。
行ってみたら面白いし
大画面で観る雅紀が最高でさー。
何回も何回も観に行ったんだよなー。
結果あれから何年も経ってるけど
鮮明に記憶してる。
で、”あれ”を利用してのお仕置きかと思うと
何もされないうちからビビる。
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作者名：わか
| 作成日時：2022年9月30日 9時
