dream seeker ページ20
俺のゴリ押しに会社が折れた結果
その日は意外と早く訪れた。
「いい天気だな〜。」
ウィンドウから差し込む日差しは
早春とは思えないほどの陽気で。
髪型を変えた雅紀の神々しさも相まって
車内は目を細めるほど眩しい。
これぞシャインマサキカット。
親父ギャグなんて口に出さないけどね。ふふっ。
「最高のドライブ日和だね。
でもさ、
しょーちゃん乗せると緊張するな。」
なんて、
キラキラしながら言ってるけど
ハンドル捌きには余裕が感じられて
若かりし頃と違って安心安全。
昔は『よそ見すんなよ！』
『運転に集中してくれ！』と
心配で口うるさくなった記憶だが
今は流れる音楽に乗って
二人で熱唱するほどの余裕ぶり。
「あー！たとぅーだー！
なつかしー！！」
「雅紀昔よくカラオケで歌ってたよな。」
「そうそうｗ
サビしかわかんないやつｗ」
「わなわなせー待ちの。」
「ひゃははっｗ」
「地獄の時間ｗ」
「地獄の時間ｗひゃははっｗ」
「あっはっはｗ」
車中での弾む会話に
すげえテンション上がってるけどさ。
だけど、だ。
おかしい。
プライベートじゃなかったのか？
なんでカメラがついてくるんだよ。
そこかしこに置かれたカメラに雅紀は
「カメラが小っちゃくてONになれないよ〜」
なんて言ってるけどさ。
後ろからピッタリついてくる1台の車。
そこからも撮られてるんだろ？
スタッフは少人数とは言え
すげえ邪魔なんですけどー。
それにさ、
思い出したけど番組で俺の千葉第二弾って
もっと先の未来でやったんだよな。
やり直して来いとここに落とされて
進んで行く時間は以前と同じっぽいのに。
ガラッと変わるなんてここに落とされて初めてだ。
俺が１ヶ月以上何も努力しないから
チャンスを作ってくれたのか？
それとも何もしない俺に
お仕置き的なことが待ってたりする？
電流じゃ効かないとわかって
もっとすごいやつがくるとか。
うわー、そのための遠出？
ありそうだな、それ。
えー。やだなー。
雅紀と楽しくデートさせてくれよー。
何かあるかと思うと満喫できないだろぉぉぉ。
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作者名：わか
| 作成日時：2022年9月30日 9時
